Re.2000 (航空機)
第二次世界大戦期にイタリアで開発されたレッジャーネ Re.2000 は、愛称を「ファルコ」（Falco、鷹の意）と称する単座戦闘機です。
開発と特徴
1936年にイタリア王立空軍が示した仕様に基づき、レッジャーネ社によって開発が進められたRe.2000は、1939年5月に初飛行しました。それまでのイタリア製航空機とは一線を画す機体設計は、アメリカ航空界での経験を持つレッジャーネ社の技術者によるものとされ、特にアメリカ陸軍のセバスキーP-35戦闘機との類似性が指摘されました。本機は全金属製の単葉機で、ややずんぐりとした特徴的な流線型の胴体、密閉式のキャノピー、そして後方へ倒れてから90度回転して主翼内に引き込まれる凝った構造の主脚を備えていました。
評価と不採用
初期の飛行試験では、同時期に開発された競合機であるマッキ MC.200サエッタを含む他のイタリア製戦闘機と比較して、優れた飛行性能を示しました。特に最高速度（約530km/h）や運動性においては、MC.200を凌駕していました。しかし、実運用上の観点からは、機体構造の複雑さや搭載エンジンのピアッジョ P.XI RC 40（出力1000馬力）の信頼性不足が指摘され、より堅牢で信頼性の高いMC.200が有利と判断されました。さらに、主翼内に配置された燃料タンクは被弾時の脆弱性が高く、戦闘における不利な要素として機体設計上の欠陥と見なされました。これらの要因が重なり、イタリア王立空軍の主力戦闘機としてはMC.200が正式に採用され、Re.2000はその多くが輸出向けとされることになりました。
海外での運用とライセンス生産
しかしながら、Re.2000が秘める高い飛行性能の噂は国外にも広がり、多くの国から発注が相次ぎました。最初に大規模な発注を行ったのはハンガリー王国で、約70機が引き渡されました。続いてスウェーデン、ユーゴスラビア、スペイン、スイス、フィンランドといった国々からも関心が寄せられ、注文を受けましたが、イタリアの第二次世界大戦参戦に伴う状況変化により、実際に機体が引き渡されたのはハンガリーとスウェーデンのみとなりました。
スウェーデンは60機を導入し、国内でJ20と呼称して運用しました。これらの機体は1945年7月まで現役で使用されるなど、長く信頼されました。一方、初期の導入国であるハンガリーでは、輸入機に加え、マーヴァグ (MÁVAG) 社による大規模なライセンス生産が行われ、192機が製造されました。これらの国産型は、ハンガリー国内でヴァイス・マンフレート社がライセンス生産したノーム・ローンK-14エンジン（WM K-14B）を搭載しており、独自の仕様となっていました。ハンガリー空軍では、輸入型は「ヘーヤ I」（Héja=鷹の意）、ライセンス生産型は「ヘーヤ II」と称され、その数はハンガリー空軍の重要な主力戦闘機の一角を占めるに至りました。
イタリア海軍での使用
その後、イタリア王立海軍は、大型艦船からのカタパルト射出運用が可能な戦闘機としてRe.2000に着目しました。カタパルト運用に適した改修型（serie 2）を12機発注し、1942年にこれらの機体の引き渡しと運用試験が行われました。このセリエ2型は、カタパルト射出時の負荷に耐えるよう機体構造各部が強化されたほか、キャノピー後方の透明部分が廃止されるなどの変更が加えられていました。また同年には、燃料搭載量を増やした長距離戦闘機型（serie 3）も24機が海軍に引き渡されました。セリエ3型は、燃料タンクの増設に加え、落下増槽や200kg爆弾の搭載能力も付与されており、武装は全型式共通で12.7mmブレダ・サファット機銃2丁を装備していました。
イタリア国内で製造されたRe.2000の総生産機数は約170機と記録されていますが、そのほとんどは輸出向けとなり、実際にイタリア国内、特に海軍で運用されたのは、前述のセリエ2型およびセリエ3型を合わせたわずか36機に過ぎませんでした。イタリアの降伏（1943年）を迎える頃には、これらの機体も激しい戦闘や事故によりほとんどが失われており、終戦時に稼働状態にあったのはわずか2機のみでした。
開発と特徴
1936年にイタリア王立空軍が示した仕様に基づき、レッジャーネ社によって開発が進められたRe.2000は、1939年5月に初飛行しました。それまでのイタリア製航空機とは一線を画す機体設計は、アメリカ航空界での経験を持つレッジャーネ社の技術者によるものとされ、特にアメリカ陸軍のセバスキーP-35戦闘機との類似性が指摘されました。本機は全金属製の単葉機で、ややずんぐりとした特徴的な流線型の胴体、密閉式のキャノピー、そして後方へ倒れてから90度回転して主翼内に引き込まれる凝った構造の主脚を備えていました。
評価と不採用
初期の飛行試験では、同時期に開発された競合機であるマッキ MC.200サエッタを含む他のイタリア製戦闘機と比較して、優れた飛行性能を示しました。特に最高速度（約530km/h）や運動性においては、MC.200を凌駕していました。しかし、実運用上の観点からは、機体構造の複雑さや搭載エンジンのピアッジョ P.XI RC 40（出力1000馬力）の信頼性不足が指摘され、より堅牢で信頼性の高いMC.200が有利と判断されました。さらに、主翼内に配置された燃料タンクは被弾時の脆弱性が高く、戦闘における不利な要素として機体設計上の欠陥と見なされました。これらの要因が重なり、イタリア王立空軍の主力戦闘機としてはMC.200が正式に採用され、Re.2000はその多くが輸出向けとされることになりました。
海外での運用とライセンス生産
しかしながら、Re.2000が秘める高い飛行性能の噂は国外にも広がり、多くの国から発注が相次ぎました。最初に大規模な発注を行ったのはハンガリー王国で、約70機が引き渡されました。続いてスウェーデン、ユーゴスラビア、スペイン、スイス、フィンランドといった国々からも関心が寄せられ、注文を受けましたが、イタリアの第二次世界大戦参戦に伴う状況変化により、実際に機体が引き渡されたのはハンガリーとスウェーデンのみとなりました。
スウェーデンは60機を導入し、国内でJ20と呼称して運用しました。これらの機体は1945年7月まで現役で使用されるなど、長く信頼されました。一方、初期の導入国であるハンガリーでは、輸入機に加え、マーヴァグ (MÁVAG) 社による大規模なライセンス生産が行われ、192機が製造されました。これらの国産型は、ハンガリー国内でヴァイス・マンフレート社がライセンス生産したノーム・ローンK-14エンジン（WM K-14B）を搭載しており、独自の仕様となっていました。ハンガリー空軍では、輸入型は「ヘーヤ I」（Héja=鷹の意）、ライセンス生産型は「ヘーヤ II」と称され、その数はハンガリー空軍の重要な主力戦闘機の一角を占めるに至りました。
イタリア海軍での使用
その後、イタリア王立海軍は、大型艦船からのカタパルト射出運用が可能な戦闘機としてRe.2000に着目しました。カタパルト運用に適した改修型（serie 2）を12機発注し、1942年にこれらの機体の引き渡しと運用試験が行われました。このセリエ2型は、カタパルト射出時の負荷に耐えるよう機体構造各部が強化されたほか、キャノピー後方の透明部分が廃止されるなどの変更が加えられていました。また同年には、燃料搭載量を増やした長距離戦闘機型（serie 3）も24機が海軍に引き渡されました。セリエ3型は、燃料タンクの増設に加え、落下増槽や200kg爆弾の搭載能力も付与されており、武装は全型式共通で12.7mmブレダ・サファット機銃2丁を装備していました。
イタリア国内で製造されたRe.2000の総生産機数は約170機と記録されていますが、そのほとんどは輸出向けとなり、実際にイタリア国内、特に海軍で運用されたのは、前述のセリエ2型およびセリエ3型を合わせたわずか36機に過ぎませんでした。イタリアの降伏（1943年）を迎える頃には、これらの機体も激しい戦闘や事故によりほとんどが失われており、終戦時に稼働状態にあったのはわずか2機のみでした。
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