Renoise
Renoiseは、Renoise.comを拠点に開発が続けられている音楽制作ソフトウェアです。
Renoiseの最大の特徴は、その独特なインターフェースにあります。一般的なミュージックシーケンサーとは異なり、編集画面が縦にスクロールし、音名（C-4など）やエフェクトコマンドと呼ばれる数値を並べて楽曲を構成します。これは、伝統的なトラッカーの操作性を色濃く残したものです。
しかしながら、その内部には最新のDAWに匹敵する機能が実装されています。ミキサー画面、内蔵エフェクター、オーディオ録音、波形編集、プラグイン対応、マルチコア対応など、高度な機能を備えています。トラッカーの操作性と最先端のDAW機能を融合させた、他に類を見ないユニークなアプローチの作曲ソフトと言えるでしょう。
Renoiseの作曲アプローチは、現在主流のシーケンサーとは異なるルーツを持っています。そのルーツは「トラッキング」と呼ばれる手法で、1987年頃に始まりました。トラッキングツールとして、日本ではModPlug Trackerが比較的有名ですが、RenoiseはFastTracker IIの画面レイアウトを受け継いでいます。
Renoiseの直接的な原型となったのは、Juan Antonio Arguelles Rius（Arguru）氏が開発したNoiseTrekkerです。2000年末頃、Eduard Mueller（Taktik）氏とZvonko Tesic（Phazze）氏の二人のプログラマーによってRenoiseとしての開発がスタートしました。その後、開発チームのメンバーは流動的でしたが、メイン開発者であるTaktik氏だけは一貫して開発を続けています。現在のRenoiseのプロフェッショナルな品質は、彼の存在なしには語れません。
V1.8では、ソングデータが完全にXML化され、過去のオーディオエンジンが一新されました。現在の内部コードは、原型となったNoiseTrekkerとは全く異なるものになっています。
V2.0では、トラッカーの代名詞とも言える「Speed値」が廃止され、発音タイミングの精度が大幅に向上しました。これにより、Renoiseはトラッカーの枠を超えたソフトウェアへと進化しました。
V2.5では、曲全体のアレンジを視覚的に行えるパターンマトリックス画面が追加されました。また、画面上のほとんどのボタンやスライダーにMIDIマッピングが可能になりました。
V2.6では、Luaというスクリプト言語を使ったAPIが導入され、Renoiseの機能をユーザーが拡張できるようになりました。
V2.7では、サンプルキーゾーンエディターやサンプルオートスライサーが追加され、サンプリング機能が強化されました。
V2.8では、64ビット完全対応となり、トラックの折り畳みやグループ化が可能になりました。
V3.0では、全体的な画面レイアウトが変更され、特に内蔵サンプラー部分が大幅に改良されました。サンプラー部分は別窓で表示できるようになり、より効率的な編集が可能になりました。
V3.1では、既にリリースされていたRedux VST/AUサンプラーの機能が、母体であるRenoiseと融合されました。これにより、RenoiseとReduxのサンプラーインストゥルメント（.xrni形式）は互換性を持つことになりました。
v3.2では、タイムストレッチ機能が導入され、サンプル再生時間を変えずにピッチを変更できるようになりました。その他、HiDPI(Retina)ディスプレイへの対応や、オートメーションカーブの急峻度設定などが追加されました。
v3.3では、VST3プラグインのサポートと、サイドチェーンを利用するプラグインのサポートが追加されました。
v3.4では、Mac M1、Raspberry Pi ARMに対応し、MacOS Metal Rendering、Windows WASAPI Audio、Ableton Linkのサポートも追加されました。
マルチプラットフォーム: 1つのライセンスでWindows, Mac OS X, Linux版を使用可能。
64ビット完全対応: 64/32ビットプラグインブリッジを搭載。ReWire 64ビットにも対応。
マルチコア対応
フルMIDIコントロール: 画面上のほとんどの箇所にMIDIマッピング可能。ハードシンセやVST/AUプラグインのMIDIコントロールに対応。外部MIDI機器との同期も可能。MIDIファイルの読み込みが可能。書き出しは変換ツールを使えばある程度可能。
VST, Audio Units, LADSPA, DSSI対応: VST/AUインストゥルメントはマルチティンバー・マルチアウトタイプのルーティングにも対応。VST/AU MIDIアルペジエータープラグインの使用や、VST/AUエフェクターへのMIDIノート信号送信も可能。
プラグイン・グラバー機能: VSTi/AUiの音を自動サンプリングしてRenoiseインストゥルメントに変換する機能を搭載。
27種類の内蔵DSPエフェクター: (Analog Filter, Bus Compressor, Cabinet Simulator, Chorus, Comb Filter, Compressor, Convolver, DC Offset, Delay, Digital Filter, Distortion, EQ 5, EQ 10, Excitor, Flanger, Gainer, Gate, LofiMat, Maxmizer, Mixer EQ, mpReverb, Multitap Delay, Phaser, Repeater, Reverb, RingMod, Stereo Expander)を搭載。
各パラメーターのオートメーション可能
PDC (自動プラグイン遅延補正) 搭載
オーディオ録音＆波形編集機能搭載
Multi-I/O ASIOサウンドカード対応
高音質WAVレンダリング: 32ビット、192kHzに対応。
ReWire (マスター&スレーブ) 対応: Windows, Mac OS Xに対応。
Jack transport 対応: Linuxに対応。
Renoise API（Luaスクリプト）による機能拡張が可能
OpenSound Control (OSC) サーバー対応
インストゥルメントのフレーズ機能搭載
インストゥルメントの各画面にプリセットライブラリ搭載
一般的な SFZ 形式に対応
Renoiseの試用版では、以下の制限があります。
ASIOドライバとWAVレンダリング機能は使用できません。
プラグイン・グラバー機能は使用できません。
ReWireマスターでは2chのみ使用可能、ReWireスレーブではノイズが入ります。
ただし、オーディオ録音やソングファイルの保存は可能であり、ReWireマスターとしても十分に機能するため、試用版でも楽曲制作を楽しむことができます。
Renoise.comの運営は、メイン開発者のTaktik氏と、サーバー管理、Web管理、チュートリアル作成、アルファ版テストなどのサポートを行うRenoise Teamのメンバーによって行われています。
Renoise Forumでは、熱心なコアユーザーが機能改善のためのアイデア提案やバグ報告などを通じて開発を支えています。特に、ベータ版と呼ばれるテストバージョンは登録ユーザーに公開され、そこから得られるフィードバックによって最終リリースの完成度が高められます。
Renoise.com
Renoise Forum
Renoise Tools (Renoiseスクリプトツール)
Noisetrekker (Renoiseの原型となったトラッカー)
Renoise-Gate (日本語サポートサイト)
Renoise 日本語マニュアル
特徴
Renoiseの最大の特徴は、その独特なインターフェースにあります。一般的なミュージックシーケンサーとは異なり、編集画面が縦にスクロールし、音名（C-4など）やエフェクトコマンドと呼ばれる数値を並べて楽曲を構成します。これは、伝統的なトラッカーの操作性を色濃く残したものです。
しかしながら、その内部には最新のDAWに匹敵する機能が実装されています。ミキサー画面、内蔵エフェクター、オーディオ録音、波形編集、プラグイン対応、マルチコア対応など、高度な機能を備えています。トラッカーの操作性と最先端のDAW機能を融合させた、他に類を見ないユニークなアプローチの作曲ソフトと言えるでしょう。
歴史
Renoiseの作曲アプローチは、現在主流のシーケンサーとは異なるルーツを持っています。そのルーツは「トラッキング」と呼ばれる手法で、1987年頃に始まりました。トラッキングツールとして、日本ではModPlug Trackerが比較的有名ですが、RenoiseはFastTracker IIの画面レイアウトを受け継いでいます。
Renoiseの直接的な原型となったのは、Juan Antonio Arguelles Rius（Arguru）氏が開発したNoiseTrekkerです。2000年末頃、Eduard Mueller（Taktik）氏とZvonko Tesic（Phazze）氏の二人のプログラマーによってRenoiseとしての開発がスタートしました。その後、開発チームのメンバーは流動的でしたが、メイン開発者であるTaktik氏だけは一貫して開発を続けています。現在のRenoiseのプロフェッショナルな品質は、彼の存在なしには語れません。
V1.8では、ソングデータが完全にXML化され、過去のオーディオエンジンが一新されました。現在の内部コードは、原型となったNoiseTrekkerとは全く異なるものになっています。
V2.0では、トラッカーの代名詞とも言える「Speed値」が廃止され、発音タイミングの精度が大幅に向上しました。これにより、Renoiseはトラッカーの枠を超えたソフトウェアへと進化しました。
V2.5では、曲全体のアレンジを視覚的に行えるパターンマトリックス画面が追加されました。また、画面上のほとんどのボタンやスライダーにMIDIマッピングが可能になりました。
V2.6では、Luaというスクリプト言語を使ったAPIが導入され、Renoiseの機能をユーザーが拡張できるようになりました。
V2.7では、サンプルキーゾーンエディターやサンプルオートスライサーが追加され、サンプリング機能が強化されました。
V2.8では、64ビット完全対応となり、トラックの折り畳みやグループ化が可能になりました。
V3.0では、全体的な画面レイアウトが変更され、特に内蔵サンプラー部分が大幅に改良されました。サンプラー部分は別窓で表示できるようになり、より効率的な編集が可能になりました。
V3.1では、既にリリースされていたRedux VST/AUサンプラーの機能が、母体であるRenoiseと融合されました。これにより、RenoiseとReduxのサンプラーインストゥルメント（.xrni形式）は互換性を持つことになりました。
v3.2では、タイムストレッチ機能が導入され、サンプル再生時間を変えずにピッチを変更できるようになりました。その他、HiDPI(Retina)ディスプレイへの対応や、オートメーションカーブの急峻度設定などが追加されました。
v3.3では、VST3プラグインのサポートと、サイドチェーンを利用するプラグインのサポートが追加されました。
v3.4では、Mac M1、Raspberry Pi ARMに対応し、MacOS Metal Rendering、Windows WASAPI Audio、Ableton Linkのサポートも追加されました。
機能
マルチプラットフォーム: 1つのライセンスでWindows, Mac OS X, Linux版を使用可能。
64ビット完全対応: 64/32ビットプラグインブリッジを搭載。ReWire 64ビットにも対応。
マルチコア対応
フルMIDIコントロール: 画面上のほとんどの箇所にMIDIマッピング可能。ハードシンセやVST/AUプラグインのMIDIコントロールに対応。外部MIDI機器との同期も可能。MIDIファイルの読み込みが可能。書き出しは変換ツールを使えばある程度可能。
VST, Audio Units, LADSPA, DSSI対応: VST/AUインストゥルメントはマルチティンバー・マルチアウトタイプのルーティングにも対応。VST/AU MIDIアルペジエータープラグインの使用や、VST/AUエフェクターへのMIDIノート信号送信も可能。
プラグイン・グラバー機能: VSTi/AUiの音を自動サンプリングしてRenoiseインストゥルメントに変換する機能を搭載。
27種類の内蔵DSPエフェクター: (Analog Filter, Bus Compressor, Cabinet Simulator, Chorus, Comb Filter, Compressor, Convolver, DC Offset, Delay, Digital Filter, Distortion, EQ 5, EQ 10, Excitor, Flanger, Gainer, Gate, LofiMat, Maxmizer, Mixer EQ, mpReverb, Multitap Delay, Phaser, Repeater, Reverb, RingMod, Stereo Expander)を搭載。
各パラメーターのオートメーション可能
PDC (自動プラグイン遅延補正) 搭載
オーディオ録音＆波形編集機能搭載
Multi-I/O ASIOサウンドカード対応
高音質WAVレンダリング: 32ビット、192kHzに対応。
ReWire (マスター&スレーブ) 対応: Windows, Mac OS Xに対応。
Jack transport 対応: Linuxに対応。
Renoise API（Luaスクリプト）による機能拡張が可能
OpenSound Control (OSC) サーバー対応
インストゥルメントのフレーズ機能搭載
インストゥルメントの各画面にプリセットライブラリ搭載
一般的な SFZ 形式に対応
試用版制限
Renoiseの試用版では、以下の制限があります。
ASIOドライバとWAVレンダリング機能は使用できません。
プラグイン・グラバー機能は使用できません。
ReWireマスターでは2chのみ使用可能、ReWireスレーブではノイズが入ります。
ただし、オーディオ録音やソングファイルの保存は可能であり、ReWireマスターとしても十分に機能するため、試用版でも楽曲制作を楽しむことができます。
コミュニティ
Renoise.comの運営は、メイン開発者のTaktik氏と、サーバー管理、Web管理、チュートリアル作成、アルファ版テストなどのサポートを行うRenoise Teamのメンバーによって行われています。
Renoise Forumでは、熱心なコアユーザーが機能改善のためのアイデア提案やバグ報告などを通じて開発を支えています。特に、ベータ版と呼ばれるテストバージョンは登録ユーザーに公開され、そこから得られるフィードバックによって最終リリースの完成度が高められます。
外部リンク
Renoise.com
Renoise Forum
Renoise Tools (Renoiseスクリプトツール)
Noisetrekker (Renoiseの原型となったトラッカー)
Renoise-Gate (日本語サポートサイト)
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