S・S・ラージャマウリ

S・S・ラージャマウリ：インド映画界を代表する巨匠

S・S・ラージャマウリ（S. S. Rajamouli）は、1973年10月10日生まれのインドのテルグ語映画監督、脚本家です。カルナータカ州出身で、脚本家の父と美術デザイナーの妻を持ち、2人の子供に恵まれています。

圧倒的なスケールと世界観：代表作群

ラージャマウリ監督は、ハイファンタジー作品を得意としています。代表作としてまず挙げられるのが、『マガディーラ 勇者転生』と『マッキー』です。しかし、彼の名を世界に知らしめたのは、何と言っても『バーフバリ』シリーズでしょう。全2部作で構成された『バーフバリ 伝説誕生』と『バーフバリ 王の凱旋』は、ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭や英国映画協会のプレミア上映に招待されるなど、国際的な高い評価を獲得しました。『バーフバリ 伝説誕生』は国家映画賞長編映画賞を受賞し、サターン[[ファンタジー映画賞]]にもノミネートされています。

これらの作品以外にも、彼は多様なジャンルの映画を製作しています。スポーツ映画『Sye』、社会問題を鋭く描いた『Vikramarkudu』など、幅広いテーマに挑み、インド国際映画祭などでも上映されています。『あなたがいてこそ』『Vikramarkudu』『チャトラパティ』は、インド国内の様々な言語でリメイクされるなど、その影響力は絶大です。

数々の受賞歴と栄誉

ラージャマウリ監督の才能は、数々の受賞歴からも明らかです。国家映画賞2つ、フィルムフェア賞 南インド映画部門3つ、ナンディ賞3つ、さらにIIFAウトサヴァム、第5回南インド国際映画祭などからも賞を受賞しています。2012年には「スター・ワールド・インディア エンターテイナー・オブ・ザ・イヤー」、2015年にはCNNニュース18の「2015インディアン・オブ・ザ・イヤー・イン・エンターテインメント」を受賞するなど、その功績は広く認められています。2016年には、インド芸術分野への貢献が認められ、パドマ・シュリー勲章（民間人に与えられる勲章の第4級）を授与されました。2017年には『バーフバリ 王の凱旋』が、インディアン・フィルム・フェスティバル・メルボルンのテルストラ・ピープルズ・チョイス・アワードを受賞しました。

映画監督としてのキャリア

ラージャマウリ監督は、映画監督K・ラーガヴェンドラ・ラーウの下で、Eenaduテレビのテルグ語連続ホームドラマの撮影に参加したことからキャリアをスタートさせました。2001年、N・T・ラーマ・ラオ・ジュニア主演の『Student No.1』で映画監督デビューを果たします。その後、2003年には『Simhadri』を監督。デビューから間もなく、モーハンラール主演のマラヤーラム語映画を企画するも、実現には至りませんでした。この企画で美術助監督を務めたマヌ・ジャガスは、映画用に描いたスケッチを後に販売しています。

2004年には、ラグビーを題材にした『Sye』を監督。この作品では、後にラージャマウリ作品に頻繁に参加するようになる撮影監督K・K・センティル・クマールが初めて参加しました。2005年の『チャトラパティ』では、ラージャマウリの従兄であるM・M・キーラヴァーニが音楽を担当。キーラヴァーニも、ラージャマウリ作品に欠かせない存在となりました。

2006年の『Vikramarkudu』は興行的にも大成功を収め、ヒンディー語映画『Rowdy Rathore』やタミル語映画『Siruthai』としてリメイクされました。2007年のファンタジー映画『ヤマドンガ』は批評家から高い評価を受けました。2009年の『マガディーラ 勇者転生』は、テルグ語映画史上最大の商業的成功を収めた作品の一つとなりました。この作品で、ラージャマウリ監督はナンディ賞監督賞とフィルムフェア賞テルグ語映画部門監督賞を受賞し、映画自体も国家映画賞振付賞を受賞しています。2010年のコメディ・スリラー映画『あなたがいてこそ』は、ヒンディー語映画『ターバン魂』としてリメイクされました。ラージャマウリ監督自身、この作品を自身の監督作品の中で最も気に入っていると語っています。

国際的な知名度と『バーフバリ』シリーズ

2012年の『マッキー』は、フランスの国際映画祭などでも上映され、国際的な評価を獲得しました。トロント・アフター・ダーク映画祭などでは、数々の賞を受賞、ノミネートもされています。

そして、2015年の『バーフバリ 伝説誕生』。この叙事詩的な大作は、インド映画の歴代国際興行記録第2位を記録し、監督の国際的な知名度を飛躍的に高めました。BBC、ハリウッド・リポーター、ガーディアン、ハフィントン・ポストなど、世界中のメディアがラージャマウリ監督と彼の作品を取り上げました。

『バーフバリ 伝説誕生』は、インド国内で数々の映画賞を受賞しただけでなく、サターン賞にも5部門でノミネートされています。釜山国際映画祭、シッチェス・カタロニア国際映画祭など、世界中の映画祭で上映されました。そして、後編『バーフバリ 王の凱旋』は、英国映画協会やモスクワ国際映画祭に招待され、プレミア上映されました。

ラージャマウリ監督の作風と影響

ラージャマウリ監督の作風は、幼少期から親しんできたインド神話のコミックの影響を強く受けていると言われています。また、母親、義姉、妻など、女性たちからの影響も大きいと語っています。

作品制作においては、父や従兄など、同じスタッフを多く起用しています。その理由として、自身のビジョンを的確に伝えやすく、スピーディに具現化できるためと説明しています。脚本については、10分ごとに観客の心拍数を上げるような場面構成を、緻密な計算に基づいて行うと語っています。

影響を受けた監督としては、シャンカール、ラージクマール・ヒラーニ、クリストファー・ノーラン、黒澤明、メル・ギブソンなどを挙げています。また、ブルース・リーを好きな俳優として、そして『幻想市場』『炎』『ベン・ハー』『ライオン・キング』『隠し砦の三悪人』『七人の侍』『羅生門』などの映画を愛好していることを明かしています。

終わりに

S・S・ラージャマウリ監督は、インド映画界のみならず、世界映画界においても重要な存在です。彼の卓越した才能と情熱は、今後も数々の傑作を生み出し続けるでしょう。彼の今後の作品に期待が高まります。

もう一度検索