S型小惑星

S型小惑星は、その名の通り、ケイ酸鉄やケイ酸マグネシウムといった石質の物質を主成分とする小惑星です。これは、英語で石質を意味する「Stony」やケイ素質を意味する「Silicaceous」に由来しています。既知の小惑星の中で約17%を占め、比較的多いタイプです。

特徴

S型小惑星は、ケイ酸塩を主成分とし、ニッケルや鉄などの金属物が混ざった化学組成を持っています。そのため、アルベド（反射率）は0.10から0.22と比較的明るく、太陽光をよく反射します。これは、黒っぽいC型小惑星と比べると、外観上で大きな違いです。

分布

S型小惑星は、主に火星と木星の間にある小惑星帯の中央より内側の軌道を周回しています。この領域は、小惑星帯の中でも比較的内側に位置しており、多くのS型小惑星が集中して存在します。この軌道を周回する小惑星の大部分がS型小惑星であることから、この領域の小惑星の代表的なタイプと言えるでしょう。

代表的なS型小惑星

ジュノー
最初に発見されたS型小惑星であり、小惑星研究の歴史において重要な役割を果たしました。
ガスプラ
探査機「ガリレオ」によって初めて接近観測が行われた小惑星です。これにより、小惑星の形状や表面の様子が初めて詳細に明らかになりました。
エロス
探査機「NEAR」が着陸に成功した初の小惑星です。このミッションは、小惑星の構造や組成を直接調査する上で画期的な出来事でした。
イトカワ
小惑星探査機「はやぶさ」によってサンプルリターンが行われた初の小惑星です。地球外の物質を直接持ち帰ったことで、小惑星の研究が大きく進展しました。

関連項目

小惑星#スペクトルによる分類
小惑星は、スペクトル（光の波長ごとの強度）の違いによって分類されます。S型小惑星は、そのスペクトル特性に基づいて分類された小惑星の一つです。
C型小惑星
炭素質を主成分とする小惑星で、S型小惑星とは異なる特徴を持ちます。小惑星帯の外縁部に多く存在します。
M型小惑星
金属質を主成分とする小惑星で、S型小惑星やC型小惑星とは異なる組成を持っています。分類が難しい小惑星が多く、組成についてはまだ不明な点も残されています。

S型小惑星は、地球に近い軌道を持つものも存在します。これらの小惑星の中には、将来的に地球に衝突する可能性のあるものも含まれているため、継続的な観測と研究が不可欠です。また、資源としての利用も期待されており、今後の宇宙開発において重要な役割を担うと考えられています。

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