S級潜水艦 (イギリス海軍・2代)

S級潜水艦：イギリス海軍を支えた小型潜水艦群

第二次世界大戦中、イギリス海軍において重要な役割を果たしたS級潜水艦。その歴史と活躍について、詳細に見ていきましょう。

概要

S級潜水艦は、1920年代後半から1940年代にかけて建造されたイギリス海軍の哨戒潜水艦です。北海や地中海といったイギリス本土に近い海域での哨戒任務を主任務として設計されました。第一次世界大戦で使用されたH級潜水艦の後継として、1930年代前半のイギリス海軍潜水艦部隊の近代化計画の一環として開発されました。

1929年に最初の2隻が発注され、第二次世界大戦開戦前までに12隻が完成しました。大戦中はさらに50隻が建造され、総計62隻というイギリス海軍潜水艦としては最多の建造数を誇ります。

終戦後も、S級潜水艦は各国海軍に供与され、運用が続けられました。オランダ、ソ連、ポルトガル、フランス、そしてイスラエル海軍へとその活躍の舞台を移し、一部の艦艇は1970年代初頭まで現役を務めました。

艦種と分類

S級潜水艦は、建造時期や仕様の違いから、大きく3つのグループに分類されます。

第1グループ

1929年から1930年にかけて建造された4隻からなるこのグループは、後続の艦艇と比較して小型で、速力や搭載武装も少なめでした。しかしながら、少ない乗員数で運用できるという利点がありました。航続距離も短かったため、主としてイギリス本国に近い英仏海峡やスカンジナビア半島周辺での運用が中心でした。

第2グループ

1931年から1935年にかけて建造された8隻からなるこのグループは、第1グループに比べ大型化し、乗員数も増加しました。搭載武装は第1グループと同様でしたが、イギリス本国近海での運用を主としていました。

第3グループ

第二次世界大戦勃発後の1939年から1943年にかけて建造された50隻からなります。このグループの艦艇は、それまでのS級潜水艦と比較して、大型化、重武装化、そして乗員数増加が図られました。水上での速力は向上した一方で、水中での速度はやや低下しました。燃料搭載量と航続距離の増加により、地中海や太平洋といったより遠方の海域での作戦にも投入されました。

さらに、第3グループは「前期型」と「後期型」に細分化できます。「前期型」は艦首に外装式の魚雷発射管を備えていましたが、「後期型」ではそれが省略され、船体構造も全溶接に変更、潜航深度も向上していました。

各艦の戦歴とその後

各グループの艦艇は、それぞれ異なる戦歴を歩み、終戦後も様々な道を辿りました。一部の艦艇は戦争で沈没し、また一部は各国海軍に売却され、1970年代初頭まで現役として活躍し続けました。

本稿では、各艦の建造年、就役時期、戦歴、そして終戦後の動向といった詳細な情報を網羅的に記述することはできませんが、それぞれのグループの代表的な艦艇の戦歴や終戦後の処遇といった情報を、必要に応じて追加していきます。

「12隻のS級潜水艦」の歌

第二次世界大戦開戦時に就役していた12隻のS級潜水艦のうち、終戦まで生き残ったのはわずか3隻でした。この高い損失率を反映して、「12隻のS級潜水艦」（Twelve Little S-Boats）という歌が作られました。この歌は、1868年にセプティマス・ウィナーが作曲した民謡「10人のインディアン」を基に作られたとされています。

結論

S級潜水艦は、イギリス海軍の近代化と、第二次世界大戦における勝利に貢献した重要な潜水艦でした。その小型で扱いやすい設計、そして各国海軍での運用実績は、潜水艦設計史において重要な一章を刻んでいます。今後の研究においても、S級潜水艦の設計思想や運用実績といった側面からの分析が不可欠であり、今後の更なる研究が期待されます。

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