SAKANAQUARIUM 光 ONLINE

サカナクション『SAKANAQUARIUM 光 ONLINE』：革新的オンラインライブの全貌

『SAKANAQUARIUM 光 ONLINE』は、日本のロックバンド・サカナクションが2020年8月に開催したオンラインライブ、およびその模様を収録した映像作品です。新型コロナウイルス感染症の拡大により、予定されていたホールツアー「SAKANAQUARIUM 2020 "834.194 光"」の多くが中止となったことを受け、その代替企画として実施されました。

開催の背景

2019年、7thアルバム『834.194』を引っ提げた全国ホールツアーを発表したサカナクション。しかし、新型コロナウイルスの影響でツアーは中断、最終的には追加公演を含め全公演が中止という決断に至りました。このような状況下で、バンドは新たな試みとして、初のライブストリーミング公演『SAKANAQUARIUM 光 ONLINE』を企画しました。

オンラインライブの詳細

公演は2020年8月15日、16日の2日間にわたって配信されました。初日はファンクラブ会員限定で、イープラスの「Streaming+」でのみ配信。2日目は一般公開され、「Streaming+」に加え、「ローチケ LIVE STREAMING」、「PIA LIVE STREAMING」、「LINE LIVE-VIEWING」といった複数のプラットフォームで配信されました。映像監督は、ツアーに引き続き田中裕介が担当しました。

2日間の配信チケット購入者には、リハーサル風景などの特典映像や、メンバーによるオーディオコメンタリー、山口一郎によるアコースティックライブ＆トーク＆クッキングショーの配信といった特典が用意されました。アコースティックライブは山口の体調不良により延期され、後日配信されています。

配信における演出と特徴

本公演は収録映像ではなく、両日とも生演奏で行われました。音響システムには、ドイツの「KLANG:technologies」による3Dサウンドが採用され、臨場感あふれる音楽体験を実現。映像はシネマスコープサイズで制作され、映画のような映像美も追求されました。

ライブ構成は、ホールツアー「SAKANAQUARIUM 2020 "834.194 光"」を踏襲。前半は白い幕に覆われた空間でミドルテンポの楽曲を中心に演奏する「深海・中層」セクション、後半は幕を取り払った広いステージでアップテンポな楽曲を披露する「浅瀬」セクションという二部構成でした。オンライン公演ならではの演出として、「浅瀬」セクションの冒頭には、スナックのセットを用いた「陽炎」のパフォーマンスが追加されました。

メンバーの衣装は、スタイリスト三田真一が手がけ、白を基調としたデザインで統一。前年の「暗闇」公演とは対照的な、光の世界観を表現しました。

各セクションの演出

「深海・中層」セクション：白い幕に囲まれた舞台で、スチームやレーザー、映像を駆使した幻想的な空間を創出。オイルアートの映像などが投影され、楽曲の世界観をより深く表現しました。
「浅瀬」セクション：空間の広がりを生かした、通常のライブに近い演出を展開。照明オペレーターは平山和裕が担当し、ダイナミックな光の演出で観客を魅了しました。
* スナックひかり：「陽炎」の演奏時に登場したレトロなスナックのセット。山口一郎がスナックの中で歌唱するシーンは、大きな話題を呼びました。セットには、著名人のサインが飾られ、演出に華を添えました。

セットリスト

ライブは、屋外の自動販売機の前でスマートフォンを操作する山口一郎のカットから始まり、徐々に演奏の音が大きくなるにつれて、ライブ会場へと誘われるような演出が施されました。以下に、セットリストの一部を紹介します。

1. タイムパラドックス
2. グッドバイ
3. マッチとピーナッツ
4. 「聴きたかったダンスミュージック、リキッドルームに」
5. ユリイカ
6. ネイティブダンサー
7. ワンダーランド
8. 流線
9. 茶柱
10. ナイロンの糸
11. ボイル
12. 陽炎
13. モス
14. 夜の踊り子
15. アイデンティティ
16. 多分、風。
17. ルーキー
18. ミュージック
19. 新宝島
20. 忘れられないの
21. さよならはエモーション

映像作品

オンラインライブ2日目の模様を収録した映像作品『SAKANAQUARIUM 光 ONLINE』は、2021年3月17日にリリースされました。完全生産限定盤、通常盤に加え、ファンクラブ会員限定のNF member Limited Editionの5形態で展開。3Dサウンドミックス、特典映像、グッズなど、豪華な内容となっています。

『SAKANAQUARIUM 光 ONLINE』は、コロナ禍という困難な状況下で、サカナクションが新たな表現方法を模索し、オンラインライブの可能性を大きく広げた画期的な公演と言えるでしょう。

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