SAKO TRG

SAKO TRG (サコーティーアールジー)

SAKO TRGは、フィンランドのリーヒマキに本社を置く銃器メーカー、サコー社が開発したボルトアクション式狙撃銃です。軍・法執行機関向けに設計され、ヨーロッパ各国をはじめとする多くの国で採用されています。

開発の背景

TRGシリーズは、サコー社の成功作であるSako TR-6ターゲットライフルと、同社が合併したフィンランドの旧国営銃器会社Valmetが開発したValmet Sniper M86ライフルの開発経験を基に生まれました。徹底的な狙撃用途の要件調査を経て、1989年に.308ウィンチェスター弾を使用するTRG-21精密ライフルが発表されました。

TRGのボルトアクションは、従来の修正されたマウザー型2ラグボルトアクションから、直径19mmの対称的な3ラグボルトアクションへと進化しました。この設計は、Sako75や85といった同社の狩猟用ライフル製品にも影響を与えています。

その後、.338ラプアマグナム弾を使用するTRG-41が登場。これは、マグナムアクションを20mm延長したモデルです。より狩猟用途に特化したTRG-S M995も導入され、TRG-21と同じレシーバーを使用しますが、排出口が上部に開いている点が異なります。

進化

1990年代後半には、TRG-21/41の設計が改良され、マズルブレーキやバイポッドなどのアクセサリーも改善されました。これにより、TRG-22/42ライフルシステムが誕生しました。

2011年頃には、アメリカのSakoベンダーからの依頼で、.260レミントン弾を使用するTRG-22狙撃銃が特別限定生産されました。2013年には、顧客の要望に基づき、リコイルパッドの改良、新しいボルトリリース、両利き対応の安全レバーを備えた調整可能なトリガー機構、そしてより確実な弾倉取付を実現するトリガーガードが導入されました。また、ボルトハンドルもより頑丈なものに改良されました。

2018年には、TRG-22 A1およびTRG-42 A1モデルが発表されました。これらのモデルは、Sako TRG M10 Sniper Weapon Systemと同様の銃床を採用し、アルミ製ミドルシャーシフレーム、折り畳み式後部銃床、M-LOKレールインターフェースシステムを備えています。

TRGシステムは、競技グレードのアイアンサイトやターゲット開口部サイトなどの照準コンポーネントも利用可能です。長距離競技でも優れた成績を収めており、狩猟用途にも使用されています。

設計の特徴

TRGシステムは、汎用ライフルの高精度バージョンではなく、軍・法執行機関の狙撃用途に特化して設計されています。マット仕上げまたはマンガンリン酸塩処理された仕上げが施されています。

機関部

冷間鍛造製のレシーバーと銃身は、強度と耐摩耗性に優れています。レシーバー上部は六角形の形状をしており、排出口を備えています。ボルトは3つの大きな突起を持ち、60度のボルト回転と、ショートボルトアクション型では98mm、ロングボルトアクション型では118mmのボルト後退動作により、薬莢の排出と次弾の装填を行います。ボルトハンドルは適切な長さで、グリップの良い球根状ノブを備えています。

レシーバー下部は、3本のネジでアルミ合金製の銃床側の接合ブロックに結合され、安定性を高めています。着脱可能な箱型弾倉は、.308ウィンチェスター/7.62×51mm NATO弾向けは10発、.300ウィンチェスターマグナム弾向けは7発、.338ラプアマグナム弾向けは5発装填できます。

銃身

フリーフローティング式のクロムモリブデン鋼製銃身が装着されています。各弾薬仕様モデルに最適化されたグルーヴィングとツイストレートが施されています。.260レミントン弾向けには、203mm（8インチ1回転）の右ツイストレートが採用されています。.308ウィンチェスター弾向けには、280mm（11インチ1回転）の右ツイストレートが採用されています。

引金

2段階トリガー機構は、1〜2.5kgの範囲で調整可能なトリガープル重量を持ち、長さ、水平、垂直ピッチを調整できます。トリガー機構は、ライフルを分解することなく取り外すことができます。

安全レバー

安全レバーは、トリガーガード内部で引金正面に位置し、機械的なノイズを生じることなく操作できます。2ポジションの安全レバーは、トリガー機構をロックし、ボルトを閉位置にロックし、撃針をブロックする構造となっています。

銃床

TRG-22/42モデルの銃床は、人間工学に基づいて設計されており、個々の射手に合わせて調整できます。伸縮長、曲率、高さ、ピッチを調整できるバットプレートとチークピースを備えています。折り畳み式スケルトンタイプの銃床も用意されています。

各モデル

TRG-21: .308ウィンチェスター弾を使用するモデル
TRG-22: TRG-21の改良モデル。後に.260レミントン弾対応モデルが追加
TRG-22 A1: TRG-22の改良モデル。アルミニウム製のシャーシ、折り畳み式の銃床、M-Lok付のフォアエンドを装備
TRG-41: .338ラプア・マグナムや.300ウィンチェスター・マグナム弾を使用するモデル
TRG-42: TRG-41の銃床などに改良を加えたモデル
TRG-42 A1: TRG-42の改良モデル。アルミニウム製のシャーシ、折り畳み式の銃床、M-Lok付のフォアエンドを装備
M995: モンテカルロ銃床を備えた狩猟向けモデル

Sako TRG M10

Sako TRG M10 Sniper Weapon Systemは、現場で構成可能な多種口径変換モジュールシステムとして設計されています。.308ウィンチェスター/7.62×51mm NATO弾、.300ウィンチェスターマグナム弾、.338ラプアマグナム弾に対応し、ボルト、マガジン、フロントエンド、バレルを交換できます。

高品質の競技用弾薬を使用したTRG M10の工場検査の精度は、.338ラプアマグナム弾と.300ウィンチェスターマグナム弾で1 MOA、.308ウィンチェスター弾で2/3 MOAです。

採用国

(採用国リストは省略)

外部リンク

サコ社公式サイト
Modern Firearms

もう一度検索