SAP S/4HANA

SAP S/4HANAの概要

SAP S/4HANAは、SAP SE社が提供する第4世代のERP製品です。この製品は、自社のインメモリーデータベース「SAP HANA」を基盤としており、リアルタイムでのデータ処理が可能です。2015年に発表された本製品は、旧来の「SAP R/3」や「SAP ERP」の後継であり、財務、販売、人事などの多様な業務を支えるソフトウェアコンポーネントを統合しています。

特徴と利点

SAP S/4HANAの大きな特徴は、データベースをSAP HANAに統一している点です。これにより、他社製のデータベース管理システムからの選択肢はなくなりましたが、その代わりにリアルタイムでの情報取得が可能になりました。また、データ圧縮技術を活用することで、必要なデータ量が大幅に削減され、効率的な運用が実現されています。

企業での活用状況

SAP S/4HANAは、発表からわずか1年で3,200社が導入し、その後も急速に導入企業は増加しました。具体的には、2019年には11,500社の企業で利用されています。米国のGoogleやMicrosoftなどの大手企業に加え、日本国内でも多くの企業がこのソフトウェアを導入しています。

提供形態

SAP S/4HANAは、オンプレミス版とクラウド版の二つの形態で提供されています。オンプレミス版は、様々なサーバベンダーが提供するハードウェア上で動作し、パブリッククラウドやSAPのプライベートクラウドでも運用可能です。一方、クラウド版である「SAP S/4HANA Cloud」は、2016年から日本でも利用できるようになりました。

バージョン管理

SAP S/4HANAは年に一度オンプレミス版、四半期ごとにクラウド版のリリースがあります。バージョン番号はYYMM形式で示されるため、例えば1709は2017年9月のリリースを指します。

機能拡充

2017年の新バージョンからは、機械学習や予測分析機能も追加され、さまざまなビジネスニーズに応えることが可能になりました。また、「SAP Fiori」により、モバイルデバイスからのアクセスもサポートされています。

RPAとの統合

2018年にRPA（ロボティック・プロセス・オートメーション）の機能が追加され、S/4HANAへの組み込みが進められています。これにより、業務の自動化や効率化がさらに進むことが期待されています。

認定資格と教育

SAP S/4HANAを使いこなすための認定制度も整備されており、ITコンサルタントやシステムエンジニアなどの専門職向けに、財務や販売管理分野に特化した資格が設けられています。

結論

SAP S/4HANAは、経営の情報をリアルタイムで一元管理することを可能にする次世代のERPソリューションであり、その多様な機能によって、さまざまな業界でのビジネスプロセスを支援しています。企業がこのツールを活用することで、競争力を高めることが期待されます。

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