SARSコロナウイルス2-カッパ株

SARSコロナウイルス2 カッパ株 (SARS-CoV-2 Kappa variant)

SARSコロナウイルス2 カッパ株は、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) の原因となるウイルスであるSARS-CoV-2の一変異株であり、系統B.1.617の亜系統の一つです。この変異株は2020年の後半にインドで初めて確認され、名称が付けられました。2021年5月には、WHOがギリシャ文字を使用する新たな命名規則を導入し、カッパのラベルが付与されましたが、同年9月にVOIから除外されました。

カッパ株の命名と分類

カッパ株は2020年10月にインドで初めて記録され、後に系統B.1.617.1として正式に命名されました。SARS-CoV-2の多数の変異株が確認される中で、B.1.617系統には独特の特徴があり、その中にカッパ株が位置付けられています。プレッシャーや制限が多い中ではありますが、この株に関する研究と解析が進められ、全体における流行状況を把握するためにも重要な役割を果たしています。

WHOは2021年5月に、カッパ株を「注目すべき変異株（VOI）」として扱う方針を採用しましたが、その後、カッパ株は2021年9月にVOIから除外され、監視すべき変異株（VUM）へと位置付けが変更されました。そして2022年4月には、VUMからも除外されています。

B.1.617系統とその特徴

カッパ株は、B.1.617系統の一部であり、同系統はこれまでにB.1.617.1からB.1.617.3の3つの亜系統に区分されています。それぞれの亜系統は、特有の変異を持っており、感染力や伝播力の違いがあります。特に、B.1.617.2（デルタ株）は非常に感染力が強いとされ、WHOにより懸念される変異株（VOC）に分類されています。

B.1.617系統は、スパイクタンパク質に特定の変異を複数含んでおり、これが感染性やワクチンに対する効果に影響を及ぼす要因の一つと考えられています。例えば、L452R、D614G、P681Rという変異は、ワクチンの効果に関して重要な意味を持っています。一方で、B.1.617.3はB.1.617.1でのE484Q変異を共有していますが、B.1.617.2にはこの変異が見られない点も注目されています。

日本における感染状況

日本では、国立感染症研究所の全ゲノム解析によってカッパ株の感染が確認されています。2021年の8月末時点で、日本国内ではカッパ株に起因する感染が7件、検疫で19件の確認例がありました。厚生労働省は2021年9月に、2020年12月以降に日本に入国した際の検疫において19人のカッパ株感染者が確認されたと報告しています。このように、カッパ株の監視が国内でも行われており、新型コロナウイルスの変異株の流行動向を把握するための重要なデータの一つとなっています。

結論

SARSコロナウイルス2のカッパ株は、2020年後半にインドで発見され、以降多くの国で監視されてきました。WHOの基準に従ってそれに対する評価が行われ、疫学的に重要な変異株の一つとして位置づけられています。今後の研究と監視が、COVID-19の流行を抑えるための鍵となるでしょう。

もう一度検索