SARSコロナウイルス2-シータ株

SARSコロナウイルス2-シータ株

SARSコロナウイルス2-シータ株（Theta variant）は、新型コロナウイルス感染症（COVID-19）の原因となるウイルスであるSARSコロナウイルス2の変異株の一つです。この変異株は、2021年2月18日にフィリピンの中部ビサヤ地方で2つの重要な突然変異が検出されたことをきっかけに特定され、日本では「フィリピン型変異株」と呼ばれています。World Health Organization（WHO）によって、シータ株は注目すべき変異株（VOI）として認定されましたが、その後、2021年7月にこのカテゴリから除外されました。

発見の経緯

シータ株は、2021年2月18日、フィリピン保健省がCOVID-19患者からのサンプルにおいて2つの特殊な突然変異を確認することで最初に知られることとなりました。これらの突然変異は「E484K」と「N501Y」と名付けられ、その後の検査で50サンプルのうち37サンプルから確認されています。29サンプルでは2つの突変が同時に発生していることがわかりました。

2021年3月12日には日本でも、フィリピンから到着した旅行者によりこの変異株が確認されました。3月13日、日本の保健省はこの変異株を「系統P.3」として正式に識別しました。この時点で、同国ではガンマ株（P.1）も確認されていますが、P.3に関してはワクチンの有効性や伝染性についての影響はまだ不明でした。

その後、3月17日にはイギリスでの初症例が報告され、イングランド公衆衛生庁（PHE）はこれを「VUI-21MAR-02」と名付けました。さらに4月30日、マレーシアのサラワク州においてもP.3系統が確認されています。

系統の特徴

シータ株は2021年1月にフィリピンで記録されたことから系統P.3と名付けられ、5月末にはWHOが新しい命名規則を導入した際にシータ（θ:Theta）のラベルが付与されました。これにより、変異株の命名が一層明確になりました。

変異の詳細

シータ株には、7つのスパイクタンパク質の変異が含まれています。これらのサンプルは、合計で14のアミノ酸置換が認識されており、スパイクタンパク質の変異のうち4つは以前の懸念系統に関係しています。特にE484KやN501Y、D614G、P681Hなどは、ウイルスの感染力やワクチンの効果に対して重要な影響を及ぼす可能性があるとして注目されています。

また、スパイクタンパク質のC末端領域には、E1092K、H1101Y、V1176Fといった3つの追加の置換が見られます。加えて、ORF8でのK2Qというアミノ酸置換も確認されており、全サンプルからは多様な突然変異が検出されています。

結論

このように、シータ株はフィリピンで最初に特定され、その後国際的な注目を浴びることになった変異株です。過去の変異株とは異なり、シータ株は同様の脅威を孕んでいると推測される一方で、ワクチン接種による中和抗体に対して高い耐性がある可能性も示唆されています。引き続き、ウイルスの変異やその影響についての研究が必要です。

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