SARSコロナウイルス2-デルタ株

SARS-CoV-2 デルタ株

概要

SARS-CoV-2のデルタ株（系統B.1.617.2）は、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) の原因となる変異株であり、2020年にインドで初めて確認されました。感染者数の急増に伴い、変異株は世界中に広まり、各国の公衆衛生に挑戦を与えました。この株は、2021年中にイギリスやアメリカ、オーストラリアなどの国々で広がり、主流の株となりました。

経緯

デルタ株は、2021年にイギリス公衆衛生庁（PHE）から懸念される変異株に分類され、その後、WHOも同様に認定しました。特に、この変異株は第2波の一因とされ、感染力の強さが懸念を呼び起こしました。WHOがこの株に「デルタ」の名称を付けたのは2021年5月のことで、これにより、科学者たちはそのリスクをより広く認識することになりました。

特徴

デルタ株の感染は、以前の変異株と比較して、特に伝染性が高いことが知られています。例えば、イギリスでのデータによると、デルタ株の感染者はそれまでのアルファ株よりも51%から67%高い二次感染率を示していることが報告されています。この株は、ウイルスのスパイクタンパク質に関する複数の遺伝子変異を特徴としており、T478K、P681R、L452Rなどの変異が、ウイルスの伝播や免疫逃避に寄与しています。

変異とワクチンの効果

デルタ株の変異により、感染者が排出するウイルス量は従来の株に比べて大幅に増加する可能性があります。そのため、ウイルスの感染力は劇的に向上していると理解されています。ワクチンに対しては、デルタ株に感染した場合でも、特にファイザーやアストラゼネカのワクチンが高い効果を発揮することが示されています。2回の接種後のデータでは、ファイザーはデルタ株に対して88%の有効性を持ち、アストラゼネカは60%とされています。一方、デルタ株に対しての免疫逃避も観察されており、感染を完全に防ぐことは難しい場合もあります。

流行状況

デルタ株は、2021年7月時点で世界各地に拡散し、124か国で報告されています。その感染力の高さから、2021年の多くの地域で主要な株として広まりました。他の変異株と比較して、デルタ株の基本再生産数は高く、伝染する力が強いことが確認されています。このような状況のなか、各国はデルタ株に対処するためのさまざまな対策を講じています。

まとめ

デルタ株は新型コロナウイルス感染症の中でも特に感染力が強い変異株であり、世界的にその影響が広がっています。ワクチン接種が重要とされていますが、変異株への適応能力を考慮する必要があります。引き続き、感染の拡大を防ぐためには、情報の収集と各国の対策が重要です。

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