SATONO

観光列車 SATONO

JR東日本が提供する「のってたのしい列車」シリーズの一員であるSATONOは、東北地方の美しい自然や豊かな文化を五感で感じながら旅ができるようデザインされた特別な観光列車です。その愛称には、「郷（さと）の景色や香り、文化などを列車に乗って心ゆくまで楽しんでほしい」という願いが込められており、2024年4月に華々しくデビューして以来、すでに多くの旅人を魅了しています。

誕生の経緯と車両の特徴

SATONOは、かつて東北地方を中心に活躍したHB-E300系観光列車「リゾートあすなろ」のAH2編成を、最新の観光ニーズに合わせてリニューアルした車両です。このリニューアルプロジェクトは、同じHB-E300系から改造された「ひなび（陽旅）」に続く第2弾として企画されました。2022年11月にその導入計画が発表され、約1年半の開発期間を経て、2024年4月6日に営業運転を開始しています。

車両の基本的な構造や設備は、先行して登場した「ひなび」と共通しており、2両編成で構成されています。ただし、外装のカラーリングはSATONO独自のデザインが採用されています。座席配置も「ひなび」と同様で、1号車はグリーン車、2号車は普通車となっており、より快適な旅を求める方から手軽な旅を楽しみたい方まで、幅広いニーズに対応できるようになっています。なお、1号車となる車両は、リニューアルに伴い形式番号がHB-E302-4からHB-E302-704へと変更されました。

デザインに込められた東北の情景

SATONOの最大の魅力の一つは、東北地方の豊かな自然や美しい風景を表現したこだわりのデザインです。外装は、車両ごとに異なるグラデーションカラーで彩られています。1号車（HB-E302-704）は、山々の緑や実りの秋を思わせる若葉色から深い緑色へのグラデーションが施され、大地からの恵みや力強さを表現。一方、2号車（HB-E301-4）は、広がる青い空と深遠な海のイメージを、水色から濃い青色へのグラデーションで表現し、まるで東北の海岸線を走るかのような爽快感を与えます。

さらに、両車両の側面には、木漏れ日の輝きや、水面に反射してきらめく光をイメージした鮮やかな黄色の帯が配されています。これらの色彩とデザインは、列車が走る東北の風景と調和し、旅の気分を一層盛り上げてくれます。

内装もまた、明るく心地よい空間が作り出されています。特に1号車のグリーン車は、仕切りに落ち着いた青色、座席には清潔感のある白を基調としつつ、宮城、福島、山形といった運行エリアを代表する各県の県旗の色がアクセントとして取り入れられています。これにより、旅の目的地への期待感を高めると同時に、地域の特色を感じられるデザインとなっています。2号車の普通車は、座席の背面を白、座面を黒を基調とした配色でまとめられ、シンプルながらも落ち着いた雰囲気を演出しています。

活躍するエリアと主な列車

SATONOは、主に宮城県、福島県、山形県の東北地方中南部エリアでその姿を見ることができます。

2024年4月6日の営業運転開始以降、土休日を中心に磐越西線の郡山駅と喜多方駅を結ぶ臨時快速列車「あいづSATONO」として定期的な運用に就いています。この列車に乗車することで、会津地方の歴史や文化、豊かな自然を満喫する旅を楽しむことができます。

また、「あいづSATONO」の運行がない期間や、季節に応じて、山形駅と左沢駅を結ぶ臨時快速列車「さくらんぼSATONO」など、東北本部管内の様々な臨時列車にも充当されます。これにより、春の桜、夏の緑、秋の紅葉、冬の雪景色と、四季折々の東北の美しい風景をSATONOの車窓から楽しむ機会が提供されています。旅の計画に合わせて、JR東日本の「のってたのしい列車」のウェブサイトなどで最新の運行情報を確認することをおすすめします。

SATONOは、単なる移動手段としてだけでなく、列車に乗ること自体が旅の目的となるような、豊かで忘れられない体験を提供してくれる観光列車です。東北地方を訪れる際には、ぜひSATONOでの特別な列車の旅を体験してみてはいかがでしょうか。

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