SATURDAY 〜ROCK'N'ROLL BEST OF YUTAKA OZAKI

SATURDAY 〜ROCK'N'ROLL BEST OF YUTAKA OZAKI

『SATURDAY 〜ROCK'N'ROLL BEST OF YUTAKA OZAKI』は、日本の孤高のシンガーソングライター、尾崎豊の軌跡を辿る上で重要な位置を占めるベスト・アルバムです。2008年4月16日に、ソニー・ミュージックレコーズから発表されました。

アルバムの背景と概要

このアルバムは、尾崎豊氏の没後17回忌という節目の年に合わせて企画・制作されました。特筆すべきは、尾崎氏の死後初めてとなる、ファンのリクエストに基づいて楽曲が選ばれたベストアルバムであるという点です。本作は「ロック曲集」として位置づけられており、ファンの皆様からの投票によって人気の高かったロックテイストの楽曲が厳選されています。

同時に、ラブソングを集めたベストアルバム『WEDNESDAY 〜LOVE SONG BEST OF YUTAKA OZAKI』もリリースされており、本作はそれと対になる作品として位置づけられています。二枚のアルバムは、尾崎豊の音楽性の多様性、特にその魂の叫びとも言えるロックと、切なくも純粋な愛を歌うラブソングという二つの側面を浮き彫りにしています。

選曲にあたっては、ファンからのリクエストが重視されましたが、権利上の制約が存在しました。具体的には、本作はCBS・ソニー（現在のソニー・ミュージックレコーズ）以外のレコードレーベルから発表されたシングルやアルバムに収録されている楽曲を含めることができませんでした。この点は、アルバムの収録曲構成に一定の影響を与えています。

タイトルに込められた意味

アルバムタイトルの『SATURDAY』には、特別な意味が込められています。本作のボーナストラックとして収録されている、初期の代表曲「15の夜」のライブバージョン音源は、1984年3月15日に新宿ルイードで行われた尾崎豊氏の記念すべきファーストライブでのパフォーマンスを収録したものです。この歴史的なライブが開催された曜日が土曜日であったことから、『SATURDAY』というタイトルが冠されました。これは、尾崎豊のキャリアの原点とも言える日への敬意と、その初期衝動であるロックンロールへの情熱を象徴していると言えるでしょう。

ボーナストラックと参加ミュージシャン

本作のハイライトの一つであるボーナストラック、「15の夜 (LIVE VERSION)」は、尾崎豊氏のライブパフォーマンスの初期の息吹を感じさせる貴重な音源です。この時のバンドメンバーは、尾崎豊氏自身を含む『Yutaka Ozaki & Heart Of Klaxon』として活動していました。参加ミュージシャンとその担当楽器は以下の通りです。

尾崎豊: ボーカル、ギター、ブルースハープ
鴇田靖: ギター
江口正祥: ギター
田口正人: ベース
井上敦夫: キーボード
吉浦芳一: ドラムス

このライブ音源は、若き尾崎豊の情熱的かつ生々しい表現力と、それを支えるバンドのタイトな演奏が見事に記録されており、ファンにとっては非常に価値の高いトラックとなっています。

まとめ

『SATURDAY 〜ROCK'N'ROLL BEST OF YUTAKA OZAKI』は、没後も多くの人々に影響を与え続ける尾崎豊のロック魂に焦点を当てた作品です。ファンのリクエストに基づいた選曲と、キャリアの原点となるライブ音源の収録により、尾崎豊のロックアーティストとしての魅力を改めて提示するベストアルバムと言えるでしょう。同時に発売されたラブソング集と併せて聴くことで、より多角的に尾崎豊の音楽世界を体感することができます。

もう一度検索