SB (航空機)

ツポレフANT-40（SB）について

ツポレフANT-40、またはその軍名称であるツポレフSBは、ソ連で開発された双発単葉の高速爆撃機です。初飛行は1934年に行われ、高度な設計と性能を備えたこの機体は、主に1930年代の多くの戦争で活躍しました。SBの名称は、「Скоростной бомбардировщик」（Skorostnoi Bombardirovschik）に由来し、日本語に訳せば「高速爆撃機」です。機種名にはSBの後にエンジン名が続き、最後にエンジンの数が示されています。

開発の経緯

SBの開発は1933年に始まり、ソビエト空軍の高速爆撃機の要求に応える形で進められました。ツポレフ設計局のA・A・アルハーンゲリスキイが主導した設計開発チームは、既存の技術を活用しながら、性能向上を目指した2種類のプロトタイプを製作しました。初飛行後には、設計の新しさにもかかわらず多くの初期不良が発覚し、これは搭乗員や整備士にとって大きな課題となりました。

スターリンからの厳しい批判を受けた設計局は、欠陥の多さを「些細なこと」として扱っていましたが、戦闘機としての信頼性が問われる事態へと発展しました。1936年から本格生産が始まり、1941年までに数多くのSBが製造され、これによりソ連空軍において重要な役割を果たしました。

スペイン内戦及び他の戦争での活躍

SBはスペイン内戦においてそのスピードと性能を生かし、敵戦闘機を圧倒しました。しかし、1941年に入ると、ドイツ軍の攻撃が激化し、SBは次第に旧式化してしまいました。それでも、1930年代の終わり頃まで、SBはソ連の空軍力の中心的存在であり続けました。

さらに、SBは中華民国、フィンランド、ノモンハン事件、冬戦争、及び第二次世界大戦の初期においても広範囲にわたって使用され、戦闘機の支援を行い、爆撃や支援任務を担いました。

設計と性能

SBは全金属製の単葉機で、2基のクリーモフM-100エンジンを搭載していました。最大速度は約423km/hに達し、航続距離は2300kmと長距離作戦も可能でした。また、武装としては777.62mm ShKAS機関銃を搭載し、爆弾倉にはさまざまな種類の爆弾を搭載できたため、多様な任務への対応が可能でした。

このように、SBはその技術的革新と戦闘における柔軟性を持ちながら、第一次世界大戦後の時代における重要な航空機でした。その後も改良が重ねられ、徐々に新型機に取って代わられましたが、長期間にわたり軍用航空機としての需要を満たすこととなりました。

戦後の機体の現状

1945年以降、SBは撤退し、市場から姿を消していきましたが、ロシアでは不時着した機体の中に唯一現存するSBが見つかり、現在は博物館で展示されています。この機体は、約7000機が製造されたうちの一つで、歴史的な価値を持つ存在として評価されています。

まとめ

ツポレフANT-40（SB）は、1930年代のソ連空軍の象徴的存在ともいえる爆撃機です。先進的な設計と多彩な運用が可能であったこの機体は、さまざまな戦争で幅広く使用され、航空機の歴史において重要な一歩を刻みました。

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