SBクラウド

SBクラウド株式会社は、ソフトバンクとアリババグループの出資により設立された、Alibaba Cloud（アリババクラウド）の日本市場における事業展開を担っていた企業です。2016年1月に設立され、Alibaba Cloudの販売、クラウドインテグレーション、サポート、IoT関連事業などを展開していました。しかし、2021年にソフトバンクに吸収合併され、その歴史に幕を閉じました。

設立と事業開始

2016年1月26日、SBクラウドは「汐留事業開発準備2号株式会社」として設立されました。同年5月10日には、SBクラウド株式会社へと商号を変更し、アリババとソフトバンクによる増資が完了しました。同年12月15日には、パブリッククラウドサービス「Alibaba Cloud」の提供を開始し、本格的に事業をスタートさせました。

事業の拡大と展開

SBクラウドは、Alibaba Cloudの提供だけでなく、関連サービスの拡充にも力を入れました。2017年6月1日には、「Alibaba Cloudパッケージサービス」に三井住友海上火災保険の補償プランを付帯し、顧客への安心感を提供しました。また、同年7月18日には、日本と海外のデータセンター間を高速かつ安定的に接続する「Express Connect」を発表しました。これにより、グローバルなクラウド環境を求める顧客のニーズに応えました。

2018年7月12日には、Alibaba Cloudの画像検索エンジン「Image Search」の提供を開始しました。これは、機械学習とディープラーニングを活用したもので、ECサイトにおける商品検索の高度化に貢献しました。この技術は、2019年7月11日には「ニトリ公式スマートフォンアプリ」に日本で初めて導入され、その利便性が証明されました。さらに、2020年4月17日には、梓設計の建材・家具検索アプリ「Pic Archi」にも採用されました。

提携とサービス拡充

SBクラウドは、他企業との提携を通じて、サービス範囲を拡大しました。2020年4月27日には、パクテラ・テクノロジー・ジャパンと、中国に拠点を持つ日本企業向けのクラウドERP構築に関する提携を発表しました。また、同年5月14日には、アリババグループのコミュニケーションサービス「DingTalk Lite」の導入支援サービスを開始しました。さらに、同年5月20日には、「ApsaraDB for POLARDB」を活用したデータベース構築サービスの提供を開始し、顧客のデータ管理ニーズに対応しました。同年7月8日には、インタセクト・コミュニケーションズと提携し、Image Searchの導入をサポートするEC支援サービス「PicInSite」の提供を開始しました。

サービス提供の終了と組織再編

SBクラウドは、2020年9月24日に、Alibaba Cloud日本サイトでのサービス提供を2021年3月31日に終了し、今後はAlibaba Cloud国際サイトでのサービスを提供することを発表しました。これは、グローバル展開を視野に入れた戦略的な判断と見られます。同年10月5日には、「Alibaba Cloud MSPサービス（監視・運用代行）」を提供開始し、顧客の運用負荷軽減に貢献しました。同年10月7日には、「Cloudflare CDN」を活用したWebサイト高速化ソリューションの提供を開始しました。

ソフトバンクへの吸収合併

2021年7月1日、SBクラウドは株式譲渡によりソフトバンクの完全子会社となりました。そして、同年10月1日にはソフトバンクに吸収合併され、SBクラウドとしての歴史は幕を閉じました。SBクラウドが提供していたサービスや技術は、ソフトバンクグループに引き継がれ、今後の事業展開に活用されることが期待されます。

SBクラウドは、短い期間ながらも、Alibaba Cloudの日本市場への普及に大きく貢献しました。その事業展開は、クラウドコンピューティングの発展に重要な役割を果たしたと言えるでしょう。

*注釈: 記事中の日付はすべて日本時間です。

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