SBMオフショア

SBMオフショア（SBM Offshore N.V.）

SBMオフショアは、オランダ王国・スヒーダムに主要拠点を置く多国籍企業です。主に海上で石油や天然ガスといった海底資源を掘削・生産するために用いられる各種設備の提供および関連サービスを世界規模で展開しています。

沿革

SBMオフショアの事業の起源は1950年代前半に遡り、海上での作業から始まりました。長年にわたり海洋エンジニアリング分野での経験を積み重ね、特に単一の係留点を持つ「モノブイ」技術の開発においては先駆的な役割を果たしてきました。この技術革新は、沖合における船舶の係留や積荷の移送方法に大きな影響を与えました。

主要事業と技術

同社の主力事業は、浮遊式生産貯蔵出荷設備（FPSO：Floating Production Storage and Offloading）のリースおよび運営です。FPSOは、海上で原油やガスを掘削し、そのまま船上で一次処理、貯蔵、そしてタンカーなどへの積荷出荷までを一貫して行うことができる複合施設のようなものです。かつて、FPSOを使用して一連の海洋資源開発プロセスを行う初めての企業として知られており、現在では世界有数の規模を誇るFPSO船団を保有・運営しています。

FPSO事業に加え、SBMオフショアは以下のような幅広い海洋関連設備やサービスにも携わっています。

自動船位保持システム（Dynamically Positioned）を備えた高度な掘削船
海底に脚を固定して作業台を水面上に持ち上げるジャックアップ式リグ
大型構造物の設置などに用いられる海上用クレーン
これらの海洋設備の設計、運用管理、セキュリティ、そして維持・保守サービス

近年は、液化天然ガス（LNG）市場の拡大に対応するため、天然ガス向けFPSOの生産にも注力しており、ドイツの産業ガス・エンジニアリング大手Linde AGとの協力を通じてこの分野での取り組みを強化しています。

グローバル展開と規模

SBMオフショアは、オランダのスヒーダムに加え、モナコ、マレーシアのクアラルンプール、アメリカ合衆国のヒューストンといった世界各地の主要な都市に事業運営拠点を構えています。これらのグローバルネットワークを通じて、世界中のプロジェクトに対応しており、全世界で3,000名を超える多様な専門性を持つ従業員を擁しています。

特筆事項

同社の技術力と信頼性を示す事例として、2009年8月18日に発表されたロイヤル・ダッチ・シェルとの大型契約が挙げられます。これは、大規模な液化天然ガス開発プロジェクト向けに、先進的なタレット係留装置（Turret Mooring Systems）を供給するというものでした。15年間の長期契約に基づき提供されるこの係留システムは、厳しい海洋環境下でも安定した稼働を可能にし、年間350万トン規模のLNG生産能力を支える重要な役割を担う計画となっています。

グループ関連会社

SBMオフショア・グループは、以下の関連会社を含んでいます（一部）。

Single Buoy Moorings Group of Companies
SBM Atlantia Inc., Houston
Gusto B.V.
Marine Structure Consultants (MSC) B.V.
GustoMSC Inc.
SBM Malaysia Sdn. Bhd., Kuala Lumpur

同社はユーロネクスト・アムステルダムに上場しており、世界のエネルギーインフラを支える主要なプレイヤーの一つです。

もう一度検索