SC-3000

SC-3000：セガが手がけたゲームパソコン

SC-3000は、株式会社セガ・エンタープライゼス（後のセガ）が1983年7月15日に日本で発売したゲームパソコンです。フォスター電機との共同開発で誕生しました。希望小売価格は29,800円でした。

同年12月には、初代機のチクレットキーボードを改良し、プラスチック製の本格的なキーボードを搭載した上位機種SC-3000H（希望小売価格33,800円）も発売されました。

SC-3000という名称は、「Sega Computer」の略であるSCに、当時の価格3万円から1桁減らした3000を組み合わせたものです。

低価格戦略と海外展開

SC-3000は、システムプログラムを別売りとすることで、高価なROMとRAMを本体から切り離し、低価格化を実現しました。これにより、同年11月に発売されたMSXと同等の性能ながら、29,800円という価格を実現し、当時のゲームパソコンとしては数万円も安価でした。購入する言語によってメモリ容量や仕様を選択できる利点もあり、発売前の受注段階で数万台の売上を記録しました。

この成功を受けて、当時のセガ社長、中山隼雄の指示により、SC-3000からキーボードやビデオ出力端子などを廃した廉価版SG-1000が同日に発売されました。SG-1000は、SC-3000のほぼ半額である15,000円という価格を実現しました。ちなみに、同日には任天堂のファミリーコンピュータも発売されています。

SC-3000は日本国外にも展開され、オーストラリアやニュージーランドを中心とするオセアニア地域では、現地の企業によるOEM販売が行われました。当時、低価格帯のパソコン市場に競合機が少なかったこともあり、市場をほぼ独占するほどの成功を収めました。これらの地域では、日本同様にテープ版ソフトや周辺機器が発売されたほか、日本未発売のライトペンや3インチディスクのパッケージソフトも販売されました。ニュージーランドでは、SC-3000専門誌「SEGA Computer」も刊行されるほどの人気でした。この人気は、Amstrad CPCがオセアニアに上陸する1986年頃まで続きました。

ヨーロッパでは、フランスのYEN-O社をはじめ、スペインやイタリアでもOEM販売が行われました。欧州での販売台数は初年度で十数万台に達し、セガの見込みを上回る成功を収めました。しかし、ゲームソフトに特化したSG-1000の方が売れ行きが良かったため、セガは家庭用ゲーム機開発へとシフトしていきました。

ハードウェアとソフトウェア

SC-3000のCPUやVDPは、MSX1やSORDのM5などと同様で、ほぼ同等の性能を持っていました。ただし、これは開発時に意図したものではなく、低価格化のために汎用部品を採用した結果、構成が類似したものと考えられています。そのため、コンピューターとしてのアーキテクチャは異なり、ハードウェア・ソフトウェアに互換性はありませんでした。しかし、海外ではMSXソフトウェアの海賊版が、機種依存部を書き換えてSC-3000で動作するように改造されて販売されることもありました。

本体のボディカラーは、黒、白、赤の3色が用意されていました。

SC-3000に対応したソフトウェアは、主にカートリッジで供給され、ゲームソフト、BASIC、学習用ソフトなどがありました。BASICカートリッジを装着することで、BASIC言語によるプログラミングが可能となり、RAMサイズや命令、数値計算の精度が異なる複数のバージョンが用意されていました。

派生機種

SC-3000Hの他に、アーケード版とも言える「パソコン学習机」が存在します。これは、筐体に内蔵されたBASICやゲームカートリッジを、コイン投入後に一定時間利用できるというものでした。

1983年のマイクロコンピュータショウでは、ハードキーボードを搭載したSC-5000が発表されましたが、これは後のSC-3000Hであると考えられています。

関連人物とメディア

とんねるず：テレビCMでSC-3000のイメージキャラクターを務めました。
斉藤ゆう子：テレビCMでSG-1000のイメージキャラクターを務めました。
マイコンBASICマガジン：SC-3000用の投稿プログラムが長期間掲載されていました。
パソコントラベル君ならどうする：セガがスポンサーを務めた番組で、回答者の端末として使用されました。

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