SCORE (映画)

『SCORE』：低予算と熱意が奇跡を生んだガンアクション映画

1996年1月、日本の映画界に衝撃的な作品が誕生しました。それが、室賀厚監督によるガンアクション映画『SCORE』です。低予算にも関わらず、その圧倒的なアクションと個性的なキャラクター、そして熱意あふれる宣伝活動によって、大きな話題を呼び、高い評価を獲得しました。

物語：予測不能の銃撃戦

宝石強盗団4人が、郊外の廃墟に逃げ込みます。そこへ、別の強盗カップルが宝石を横取りしようと現れ、さらに殺し屋も加わって、予測不能の銃撃戦が展開されます。クエンティン・タランティーノ監督作品のような展開も持ちつつ、派手なガンアクションが特徴です。

製作：奇跡の3000万円

この映画の製作費はわずか3000万円。当時の主演俳優である小沢仁志や監督の室賀厚は、全国的な知名度は高くありませんでした。室賀監督はオリジナルビデオで実績はありましたが、劇場映画の監督は本作が初めてでした。それでも、彼らは不可能を可能にする熱意で、並み居る大作映画に引けを取らない、素晴らしいガンアクション映画を作り上げました。

超激安製作の舞台裏：知恵と工夫

この超低予算映画を実現できたのは、徹底したコスト削減と、室賀監督の人脈と努力によるものです。

人脈の活用: 室賀監督の母校である明治大学映画研究会の有志がスタッフとして参加。さらに、フィリピンでのロケを行い、現地スタッフを多く雇用することで人件費を削減しました。
オールアフレコ: 吹き替えを全てアフレコで行うことで、コストを抑えました。

しかし、製作費を抑えた分、宣伝には約2億円もの費用が費やされました。

怒涛の宣伝：話題を生み出す戦略

『SCORE』の成功には、徹底した宣伝活動が大きく貢献しています。

雑誌・TV番組への露出: 公開前から『キネマ旬報』などで記事が掲載され、露出を増やしました。
試写会での舞台挨拶: 出演者による積極的な舞台挨拶が、作品への関心を高めました。
* 宣伝バスによる全国行脚: 全国各地を巡る宣伝活動で、作品の存在感を高めました。

この積極的な宣伝戦略が功を奏し、『SCORE』は各方面で話題となり、第50回毎日映画コンクールのスポニチグランプリ新人賞、第17回ヨコハマ映画祭の新人監督賞および審査員特別賞（『score』軍団こと出演俳優陣）を受賞するなど、高い評価を受けました。

キャストとスタッフ：個性豊かなメンバー

『SCORE』には個性豊かなキャストとスタッフが参加しています。主演の小沢仁志をはじめ、小沢和義、宮坂ひろし、江原修、山下真広、高野みゆき、水上竜士、宇梶剛士など、実力派俳優たちが集結しました。監督の室賀厚をはじめとするスタッフの努力も、この作品を成功に導いた大きな要因です。

伝説に残る一作

『SCORE』は、低予算、無名の新人監督・俳優陣という不利な状況を、熱意と工夫、そして徹底した宣伝活動で覆した、奇跡のような作品です。その挑戦と成功は、日本の映画史に一つの伝説として刻まれました。続編『SCORE2 THE BIG FIGHT』も制作されましたが、キャラクターなどのつながりはありません。

この作品は、映画製作における熱意と創意工夫の重要性を改めて感じさせてくれる、忘れがたい一作と言えるでしょう。

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