SCP財団

SCP財団：世界を揺るがす異常現象と、それを管理する秘密組織

SCP財団は、2008年に設立された共同創作コミュニティサイトであり、同時に、その創作物世界における架空の秘密組織でもあります。サイトでは、自然法則に反する異常な存在・現象・場所（SCPオブジェクト）に関する報告書が多数公開されており、それらは世界観を共有しつつ、多様な物語を紡ぎ出しています。

架空の組織：SCP財団

SCP財団は、世界政府から委任を受け、異常なSCPオブジェクトの捕捉、研究、収容を行う秘密組織として設定されています。これらのオブジェクトは、人類の安全や文明存続を脅かす可能性があり、財団は秘密裏にそれらを管理することで、世界秩序を維持しようとしています。

各SCPオブジェクトには固有の識別番号が割り当てられ、その性質や収容方法を詳細に記した報告書が作成されます。報告書は、あたかも科学論文のような客観的な筆致で書かれており、しばしば黒塗りや伏字といった演出が用いられています。

共同創作コミュニティ：SCP財団

SCP財団のサイトは、Wiki形式を採用しており、誰でも参加して作品を投稿、編集することができます。参加申請を経てメンバーになると、独自のSCPオブジェクトに関する報告書や、財団職員の活動を描いた物語（Tale）を投稿できます。投稿された作品は、他のメンバーによる批評や投票を受け、クオリティの維持が図られています。

サイトには、英語サイトを筆頭に、世界各国語の支部が存在し、それぞれの言語で創作活動が行われています。また、DiscordやRedditといった外部プラットフォームにも公式コミュニティが存在し、活発な情報交換や交流が行われています。

歴史と発展

SCP財団は、2007年に4chanの超常現象板に投稿されたクリーピーパスタ「SCP-173」を起源としています。この作品をきっかけに、同様の創作物が多数投稿されるようになり、それがコミュニティ形成へと繋がりました。以来、7000を超えるSCPオブジェクトが登録され、現在も新たな作品が加えられています。

2018年には、LGBT連帯を表明したロゴ変更への反発から、RPC機構という分派組織が設立されました。また、SCP-173に使用されている画像について、2014年に原作者との連絡が取れ、許可を得て使用されていますが、2022年には諸問題への対処として画像の削除が行われました。

世界観と設定

SCP財団の世界観は、明確に定義されたものではなく、個々の作者や読者の解釈に委ねられています。各作品は、それぞれの解釈（カノン）に基づいて作成され、それらが相互に影響を与えながら、広大な物語世界を形成しています。

作品は、SF、ホラー、アーバンファンタジーなど、多様なジャンルを包含しており、設定の矛盾も許容されています。

オブジェクトクラス

SCPオブジェクトは、その危険性や収容難易度に応じて、オブジェクトクラスに分類されます。主要なクラスとしては、以下の3つがあります。

Safe: 安全に収容できる、または異常性が限定的なもの。
Euclid: 性質が不明または予測不可能なもの。
* Keter: 極めて危険で、収容が困難なもの。

これ以外にも、様々なオブジェクトクラスが存在し、オブジェクトの特性をより詳細に表現するために用いられています。

財団職員と要注意団体

SCP財団には、研究員、フィールドエージェント、機動部隊員など、様々な職種の職員が所属しています。職員はセキュリティ・クリアランスに基づいて権限が分けられており、最高権限を持つO5評議会が組織全体を統括しています。

また、SCPオブジェクトを扱う他の組織も存在し、「要注意団体（Group of Interest, GoI）」と呼ばれています。財団と協力関係にある組織もあれば、敵対する組織もあります。GoIは、財団の活動に多大な影響を与えています。

代表的なGoIとしては、世界オカルト連合（GOC）、蛇の手、株式会社プロメテウス研究所、カオス・インサージェンシーなどがあります。これらの組織は、それぞれ異なる目的や理念を持っており、財団と複雑な関係を築いています。

派生作品

SCP財団は、多くの派生作品を生み出しており、コンピュータゲーム、小説、TRPGなど、様々な媒体で展開されています。これら派生作品は、SCP財団の世界観をさらに広げ、深めています。

評価

SCP財団は、その独特の世界観と多様な物語、そして高いクオリティから、世界中のファンから高い評価を得ています。不気味さや恐怖だけでなく、科学的な記述やユーモラスな要素も交え、幅広い読者層に訴えかけています。

様々なメディアへの展開や、影響を受けた作品の存在は、SCP財団が現代の共同創作における成功例の一つであることを示しています。その世界観は、今後も多くのクリエイターや読者を魅了し続けるでしょう。

もう一度検索