SCore

SCore（エスコアー）は、1992年から10年計画で経済産業省の超並列処理研究推進委員会が主導した技術研究組合新情報処理開発機構（Real World Computing Partnership, RWCP）によって開発された、Linuxベースのクラスター計算機向け超並列プログラム実行環境です。

概要と経緯

実行環境とは、並列プログラムを動作させるために必要な共通API仕様に基づいたライブラリ群や補助ツール群をまとめた基盤のことです。SCoreは、当初UNIXをベースに設計されました。RWCPの解散後は、これらの実行環境を開発していた有志の企業やメンバーによって構成されたPCクラスタコンソーシアム（PCCC）が、開発と普及活動を引き継いでいます。

SCoreは、OpenMP、MPI、MPC++といった多様な並列プログラミング環境をサポートしており、対話型実行環境、ギャングスケジューリング（管理者権限で特定のプログラムを独占的に実行するスケジューリング機能）、マルチスケジューリング、マルチユーザー環境といった高度な機能を提供します。

1992年、当時の通商産業省による新情報処理開発機構（RWCP国家10年プロジェクト）の専用コンピュータRWC-1用の実行環境として開発されました。その後、汎用サーバーでの利用ニーズが高まったため、1995年にはまずSUNのSPARCstation 20に移植され、移植テストが行われました。同年後半からは、より汎用的かつ低価格化を目指し、Pentium/NetBSDへの移植が進められ、翌年にはLinuxへと移植されました。2001年のSCore5.0のリリースをもって、RWCPプロジェクトチームは解散しましたが、その後もPCCCが活動を引き継ぎ、多くのPC-Linux系のクラスター環境で利用されています。

SCoreのノード間通信には、ファイバーチャネル、Myrinet、InfiniBand、イーサネットなど、当時最先端のネットワーク技術が採用され、高速化が図られています。

RWCPによって実証用に構築されたクラスターにおいては、RWC SCore Cluster IIが2000年11月のTOP500リストで395位にランクインし、続くRWC SCore Cluster IIIが2001年6月のTOP500リストで36位にランクインするという実績を残しています。

主な機能

多様な並列プログラミング環境のサポート: OpenMP、MPI、MPC++など、様々な並列プログラミングモデルに対応しています。
対話型実行環境: プログラムを対話的に実行・デバッグできる環境を提供し、開発効率を向上させます。
マルチスケジューリング: 複数のプログラムを効率的にスケジューリングし、システムリソースを最大限に活用します。
ギャングスケジューリング: 管理者権限で、特定のプログラムを独占的に実行させることで、並列処理性能を向上させます。
マルチユーザー環境: 複数のユーザーが同時にシステムを利用できる環境を提供します。
高速なノード間通信: ファイバーチャネル、Myrinet、InfiniBand、イーサネットなど、高速なネットワーク技術を活用して、ノード間のデータ転送を高速化します。

関連項目

グリッド・コンピューティング
Myrinet
InfiniBand
NSシステム
Beowulf

外部リンク

PC Cluster Consortium

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