SDS-1

SDS-1（Small Demonstration Satellite - 1）

SDS-1は、宇宙航空研究開発機構（JAXA）によって開発された小型の実証衛星です。この衛星は、将来の実用衛星に搭載するリスクが高い技術の実証を行うことを目的としています。具体的には、重要かつ緊急な技術の成熟度を高めることで、将来的に実用衛星の信頼性向上に貢献することを狙っています。SDS-1の特徴として、小型化されたことで大型衛星と比べて低コストかつ短期間で開発ができる点が挙げられます。また、マイクロラブサットと同様に、インハウス製作を通じてJAXAの若手技術者の育成も重要な目的となっています。

ミッション

SDS-1は5つの主要なミッションを持っており、これらはそれぞれ独自の目標を持っています。

1. マルチモード統合トランスポンダ（MTP）
このミッションでは、4種類の通信方式を一つの小型軽量なSバンドトランスポンダに統合し、観測衛星や科学衛星への搭載を目指しています。これにより、将来的な通信技術の標準化が期待されています。

2. スペースワイヤ実証モジュール（SWIM）
JAXAが開発した64bit MPUであるHR5000を中心に、SpaceWireという新たな通信規格を適用したモジュールの実証を行います。このミッションでは、次世代の小型科学衛星シリーズへの適用も視野に入れています。

3. 先端マイクロプロセッサ軌道上実験装置（AMI）
高性能計算機ボードの実証を行い、320MIPS級の64bit MPUや他の部品の性能向上を確認します。この技術が未来の宇宙ミッションにどのように役立つのかを探求することが目的です。

4. 薄膜太陽電池（TFC）
2種類の次世代薄膜太陽電池について、実装技術の実証と軌道上データの取得を行い、宇宙での運用可能性を評価します。

5. 次世代小型衛星バス技術実験
車載用GPS受信機や新型のセンサー技術を宇宙用に改良した小型GPS受信機を開発し、次世代モニタカメラの実証を行います。

運用状況

SDS-1は2009年1月23日にH-IIAロケットで打ち上げられました。初めの4日間はクリティカル運用を行い、様々な機器の動作を確認しました。その後、3月6日まで初期チェックアウトが実施され、すべての搭載機器が正常に動作することが確認されました。

3月7日からは定常運用に移行し、主にMTP、SWIM、AMIの実験が順次実施されました。この定常運用は9月7日に終了し、その後、AMI実験を中心に2010年9月8日までの約1年間は後期運用が続きました。最終的には、SDS-1はそのミッションを完遂し、運用を終了しました。

関連情報

SDS-1に関連する技術研発や他の衛星プロジェクトには、JAXAの他の宇宙衛星や技術実証プロジェクトが含まれています。さらに、JAXAはSDS-1の成果を活用して、今後の宇宙ミッションへの応用を図っています。この取り組みは、日本の宇宙技術の発展に寄与するものとされています。

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