SEV-3 (航空機)

セバスキー SEV-3：水陸両用機のパイオニア

セバスキー SEV-3は、単葉の水陸両用機として、航空史にその名を刻む1機です。設計を手掛けたのは、かの有名なアレクサーンドル・セーヴェルスキイ。彼がアメリカに設立したセバスキー航空機会社（Seversky Aircraft Corporation）が最初に世に送り出した機体でもあります。

優れた性能と革新的な設計

SEV-3は、全金属製の片持ち低翼単葉機という、当時としては先進的な構造を採用していました。パワフルなライトJ-6ライトワールウィンドエンジン（420 hp）を搭載し、高い飛行性能を実現しました。コクピットはスライド式のキャノピーを備えた2人乗りで、パイロット席と、2名の乗員のための後部座席を配置。さらに、水陸両用機としての運用を可能にするため、車輪を内蔵できる双フロート、または太いフェアリングで覆われた固定脚のいずれかを装備することができました。

1933年6月の初飛行は、その優れた性能を証明するものでした。特に注目すべきは、水陸両用機としての速度性能です。1933年から速度記録樹立を目指した挑戦の結果、1935年9月15日には370.8 km/hという驚異的な速度を記録。この記録は、実に49年間もの間、破られることはありませんでした。

軍事利用と後世への影響

SEV-3の高いポテンシャルは、軍用機としての採用にも繋がりました。陸上機仕様の機体は、アメリカ陸軍航空隊の初等練習機BT-8として採用され、30機が生産されました。コロンビア空軍でも水陸両用型が使用され、その活躍ぶりは、この機体の信頼性の高さを物語っています。

SEV-3の設計思想は、セバスキー社の後の機体、そして特に有名なP-47サンダーボルトといった戦闘機へと受け継がれていきます。その意味で、SEV-3は、後の航空機開発に多大な影響を与えた重要な機体と言えるでしょう。

SEV-3の要目（BT-8）

以下の要目は、BT-8（アメリカ陸軍航空隊の練習機仕様）に関するものです。

出典: Swanborough, F.G. and Peter M. Bowers. United States Military Aircraft since 1909. London: Putnam, 1963.
乗員: 2名
全長: 7.42 m
全幅: 10.98 m
翼面積: 20.42 m²
空虚重量: 1,317 kg
最大離陸重量: 1,841 kg
エンジン: R-985-11 450 hp (336 kW)
* 最大速度: 282 km/h

まとめ

セバスキーSEV-3は、優れた性能と革新的な設計によって、航空史に名を残す水陸両用機です。その設計思想は後の戦闘機開発にも大きな影響を与え、アメリカ陸軍航空隊への採用やコロンビア空軍での運用実績などからも、高い信頼性と実用性を備えた機体であったことが分かります。水陸両用機としての速度記録樹立も、その高い性能を象徴する出来事と言えるでしょう。

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