SHADE〜夏の翳り〜

1987年、日本の音楽シーンに爽やかな風を吹き込んだ杉山清貴。その4枚目のシングル「SHADE〜夏の翳り〜」は、彼の音楽キャリアにおいて重要な位置を占める作品と言えるでしょう。

このシングルは、前作「水の中のAnswer」から僅か3ヶ月後の1987年8月26日、バップよりリリースされました。そして注目すべきは、そのリリース形態です。「SHADE〜夏の翳り〜」は、シングルとしては珍しく、12インチシングルと、当時まだマキシシングルという名称は一般的ではなかった12cmCDシングルの2形態で発売されました。これは、杉山清貴のシングル作品において唯一の12インチシングルという点で、コレクターにとっては貴重な存在となっています。

音楽チャートにおいても、「SHADE〜夏の翳り〜」は輝かしい成績を残しました。前作「水の中のAnswer」に続き、オリコンチャートで堂々の1位を獲得。勢いは留まるところを知らず、1987年9月度のオリコン月間シングルチャートでも1位に輝きました。2作連続での1位獲得という快挙は、杉山清貴の絶大な人気と、楽曲のクオリティの高さを証明するものです。

しかし、このヒット曲にも、裏側がありました。当時、人気音楽番組として知られていたTBSテレビ系の「ザ・ベストテン」には一度も出演しなかったのです。一方、日本テレビ系の「歌のトップテン」にはランクインする度に毎回出演を果たしており、番組への出演戦略も興味深い点と言えるでしょう。

楽曲の内容にも注目してみましょう。作曲は、全曲杉山清貴自身によって手がけられています。表題曲「SHADE〜夏の翳り〜」は、青木久美子による作詞、佐藤準による編曲という豪華な布陣。そして、B面には、「水の中のAnswer」のロングバージョンと、「ANGEL EYES」が収録されています。「ANGEL EYES」は、アルバム『beyond…』に収録されている「long time a go」の英語バージョンであり、アルバムとはまた違った魅力を感じさせてくれます。「水の中のAnswer」のロングバージョンは、アルバム未収録の貴重な音源と言えるでしょう。

「SHADE〜夏の翳り〜」は、その後も様々なコンピレーションアルバムに収録されており、現在でも多くのファンに愛され続けています。シングルとしてのリリース形態、チャート成績、メディア出演状況、そして楽曲の内容、いずれの点においても、このシングルは杉山清貴の音楽キャリアにおける重要なマイルストーンであり、日本の音楽史に名を刻む作品と言えるでしょう。シングルとしての12インチというフォーマット、そして2作連続でのオリコン1位獲得という成功は、1980年代後半の音楽シーンを象徴する出来事の一つと言えるのではないでしょうか。

1987年という時代背景、そして杉山清貴というアーティストの個性を深く理解することで、「SHADE〜夏の翳り〜」の魅力はさらに増していくことでしょう。このシングルは、単なるヒット曲ではなく、一時代を彩った名曲として、これからも多くの人々に聴き継がれていくに違いありません。

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