SHAKER (中森明菜のアルバム)

アルバム『SHAKER』について

中森明菜の17枚目のスタジオ・アルバム『SHAKER』は、日本での音楽シーンに新たな風を吹き込む作品として、1997年3月21日にMCAビクターよりリリースされました。本作は、前作『la alteración』から約1年6ヶ月ぶりのリリースとなります。アルバムのタイトルは、当初イタリア語の「Dolce」でしたが、楽曲をカクテルに見立て、心理状態に応じた酒を楽しむイメージから「SHAKER」と名付けられました。

アルバムの背景

『SHAKER』は中森明菜がMCAビクター在籍時に発表した最後のアルバムであり、初回生産分はスリーブケース仕様でした。レコーディングは、複数のスタジオで行われ、ボーカル録音はニューヨークのSound on Sound Studiosで実施されました。ジャケット撮影も同地で行われ、中森はこのアルバムを通じて聴く人に癒しと元気を届けたいという思いを込めています。

中森は、アルバムに収録される楽曲の多様さを意識し、ジャンルを超えたサウンドを採用しました。『CDジャーナル』によると、16ビートのヒップホップ・ソウル的なトラックから、ファンキーなナンバー、ダンサブルなポップソング、さらにはマイナーな歌謡曲までが多数収められています。また、朝日新聞では、デジタルサウンドとアコースティックワークのバランスの良さが評価されました。

カラフルな楽曲たち

アルバムにはリードシングル「MOONLIGHT SHADOW-月に吠えろ」が収録されており、これは小室哲哉のプロデュースによる作品で、アルバムバージョンで収められています。続いて1987年に発売された2枚目のシングル「APPETITE」も収録されており、そのアルバムバージョンが特徴的です。

中森は、自身の歌唱方法の変更や新たな挑戦を通じて、音楽的表現の幅を広げることに成功しました。インタビューでは、アルバムの楽曲のほとんどが辞表に合わないキーで歌われていることによる葛藤を語りつつも、完成後にはその挑戦に満足している様子を伺わせました。また、スタッフとの協力によって新たな音楽的側面を探求することができたとも述べています。

批評とチャート成績

『SHAKER』は、発売後にオリコン週間アルバムチャートで最高順位の14位を獲得し、計5週間にわたってランクインしました。『CDジャーナル』は、本作を「精力的な作品」と評し、多彩な楽曲群の中でも彼女の独特な歌唱スタイルが引き立っていると評価しています。

再発売とその後

2002年12月には『SHAKER+3』としてリマスター再発され、いくつかのボーナストラックが追加されました。この再発版には、リードシングルやカップリング曲も含まれ、デジタルダウンロードも利用可能です。

中森明菜の『SHAKER』は、聴く人に元気と癒しを届けるために作られた、奥深い音楽体験を提供する作品です。彼女の独自の音楽世界観は、多彩なサウンドに支えられ、ますます魅力を増しています。

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