SING LIKE TALKING

SING LIKE TALKING

SING LIKE TALKINGは、ボーカルの佐藤竹善、キーボードの藤田千章、ギターの西村智彦を中心とする日本のクロスオーバー系バンドである。ソウル、ファンク、ジャズ、ラテン、フュージョンなど、多様な音楽ジャンルを融合させた洗練されたサウンドを特徴とする。

結成から黎明期

バンドの歴史は、1985年末に佐藤と藤田を中心に結成された「514バンド」に始まる。翌1986年、「ヤングジャンプ・サウンド・コンテスト '86」応募に際し、佐藤が「SING LIKE TALKING」と命名。これは女優・李麗仙の「歌うように語り、語るように歌う」という言葉に由来する。同コンテストでグランプリを獲得したことがきっかけで、ファンハウスと契約。1988年9月30日、シングル『Dancin' With Your Lies』でメジャーデビュー。デビューアルバム『TRY AND TRY AGAIN』は、ミック・グゾウスキーやTOTOのジェフ・ポーカロから高い評価を受けた。ジェフ・ポーカロとネイザン・イーストはデビューライブにも参加。西村智彦は初期メンバーから唯一残留したギタリストとして、佐藤・藤田と共にバンドの核を担ってきた。

音楽性の確立と成功

1990年代、彼らは海外プロデューサーと共に多様な音楽要素を取り込み、音楽性を深化させた。地道なライブ活動でファン層を拡大し、1993年の『ENCOUNTER』、1994年の『togetherness』というアルバムでオリコンチャート初登場1位を連続獲得する成功を収めた。多くの楽曲は藤田と佐藤の共作で、佐藤のデモに藤田が独特な歌詞をつけるスタイルで制作されている。

活動の変化と休止、そして再開

1996年には初の日本武道館公演を実現。その後、メンバーのソロ活動活発化に伴い、バンドとしてのリリースは減少。2000年代に入るとロック色も加わるなど音楽的な変化も見られた。2003年のツアー後、ソロ活動のためバンド活動を長期休止したが、2010年に正式に再開。

近年の歩みと周年

近年の活動として、2013年にデビュー25周年、2018年に30周年、2023年に35周年を迎えている。節目ごとにベストアルバム発表や記念ライブ、エキシビションなどを行ってきた。2020年にはコロナ禍でライブツアーが中止となったが、無観客配信ライブを実施。2021年にはメンバー西村智彦の病気療養によりイベント中止もあったが、2023年の35周年記念ライブでは西村が復帰。特に東京公演では、押尾コータローや小田和正など豪華ゲストを迎えたスペシャルライブ「"FRIENDS!"」が実現し話題となった。また、BMG時代の楽曲アナログ盤企画など、新たな試みも行われている。

エピソード

メンバーである佐藤、藤田、西村は青森県出身の幼なじみという深い絆で結ばれている。デビューアルバム制作時の録り直しや、楽曲「Rise」がドリームズ・カム・トゥルーの「決戦は金曜日」とラジオ企画で競作されたエピソード、武豊の結婚式に贈った曲が「Spirit Of Love」となったことなど、彼らの活動には様々な興味深い背景がある。

結び

長年にわたり日本の音楽シーンで独自の立ち位置を築いてきたSING LIKE TALKING。しかし、2025年6月5日にはギタリスト西村智彦が逝去し、バンドは大きな変化を迎えることとなった。その洗練されたクロスオーバーサウンドは、多くのリスナーに愛され続けている。

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