SJ AB

スウェーデン国鉄SJ AB：スカンジナビアを駆け抜ける歴史と未来

スウェーデン国鉄SJ AB（Statens järnvägar aktiebolag）は、スウェーデンを代表する国有鉄道会社です。日本語ではスウェーデン国鉄、スウェーデン鉄道などと呼ばれ、国内外の主要都市を結ぶ広範な路線網と、快適な高速列車で知られています。

歴史：国鉄から株式会社へ

かつてスウェーデンの国鉄は、王立鉄道委員会が運営する国営事業でした。しかし、1988年、スウェーデン政府は国鉄の線路管理を独立させ、Banverket（線路管理局）を設立しました。これは国鉄改革の始まりであり、2001年までに国鉄は7つの国有会社に分割されました。SJ ABはその一つで、旅客鉄道部門を受け継ぎました。他の会社には、貨物輸送を担うGreen Cargo ABや、鉄道車両の保守・メンテナンスを行うEuromaint ABなどがあります。この分割は、国鉄の効率性向上と、市場競争の促進を目的として行われました。

王立鉄道委員会は、国鉄事業の分割後も存在を続けましたが、その後、産業省鉄道委員会、そして2009年には産業省運輸委員会（Transportstyrelsen）へと組織変更されました。線路管理局も、2010年には産業省交通局（Trafikverket）に統合されています。

主要路線：国内外を結ぶネットワーク

SJ ABは、ストックホルム、ヨーテボリ、マルメといった主要都市を結ぶ路線網を運営しています。その中でも象徴的な存在が、高速列車X2000です。X2000は、スウェーデン南部を縦断するだけでなく、デンマークのコペンハーゲンやノルウェーのオスロまで運行され、スカンジナビア半島の重要な交通手段となっています。

主要路線としては、以下のものがあります。

ヴェストラ・スタンバナン線: ストックホルム - ヨーテボリ、ストックホルム - マルメ - コペンハーゲン
ノルラ・スタンバナン線: ストックホルム - ウプサラ - イェヴレ - スンツヴァル、ストックホルム - カールスタッド - オスロ
* マルメ - ヨーテボリ線: マルメとヨーテボリを結ぶ路線

これ以外にも、インターシティ(InterCity)と呼ばれる中距離列車や、長距離夜行列車であるナットトーグ(Nattåg)、近郊電車よりも広い範囲をカバーするレギオナールトーグ(Regionaltåg)などが運行されています。

車両：近代化と伝統の共存

SJ ABの車両は、近代的な電車が中心となっています。高速列車X2000（X2形）をはじめ、X12形、X40形、Reginaなど、様々なタイプの電車が活躍しています。一方、機関車牽引の客車列車は減少傾向にありますが、一部の路線ではいまだ運行されています。

過去の車両としては、Ra形、Rb形、D形などの電気機関車、T44形、T43形などのディーゼル機関車、そして様々なタイプの電車や気動車が挙げられます。これらのうち、一部の車両は動態保存され、現在も特別なイベントなどで運行されています。

未来：持続可能な鉄道を目指して

SJ ABは、環境問題への配慮も重視し、持続可能な鉄道運営を目指しています。今後、さらなる車両の近代化や、運行効率の向上、環境に優しい技術の導入などが期待されます。スウェーデンの鉄道は、技術革新と伝統の融合によって、これからもスカンジナビア半島の人々の生活を支えていくでしょう。

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