SKIN/スキン

映画『SKIN/スキン』について

『SKIN/スキン』（原題: Skin）は、2018年に製作されたアメリカ合衆国の伝記映画です。ガイ・ナッティヴが監督を務め、主演はジェイミー・ベルとダニエル・マクドナルドが務めました。本作は、実際に白人至上主義者としての過去を持ち、そこからの脱却を図ったブライオン・ワイドナーという男性の実話に基づいており、憎悪と暴力に満ちた世界から抜け出し、人間として再生しようとする主人公の壮絶な道のりを描いています。

監督の背景とテーマ

監督のガイ・ナッティヴは、本作の製作に先立ち、同名の短編映画『SKIN 短編』を発表しており、これは第91回アカデミー賞で短編映画賞を受賞しています。この短編作品と同様に、長編である本作も人種差別主義という重いテーマを扱っています。また、短編版にも出演していたダニエル・マクドナルドが、本作でも重要な役どころを演じている点も注目に値します。

物語の展開

物語の主人公、ブライオン・ワイドナーは、過激な白人至上主義を掲げるギャング集団の一員として生きてきました。しかし、ジュリーという女性と出会い、彼女と恋に落ちたことが彼の人生を大きく変える転機となります。ブライオンは、ジュリーと共に歩む未来のために、自分が所属していたギャング、そして彼自身の中に深く根ざしていた白人至上主義思想から抜け出すことを決意します。

この決意を具体的に示すものとして、ブライオンは自身の体に刻まれた白人至上主義のシンボルである無数の刺青を、全て消し去るという過酷な手術に挑みます。これは、過去の自分との訣別を象徴する行為です。さらに、これまでに自身が犯してきた数々の罪を償うため、ブライオンは連邦捜査局（FBI）の捜査に協力することを決めます。

映画は、ブライオンが憎悪と暴力の渦から脱け出し、更生への道を歩み始める過程を克明に描きますが、その道は想像を絶するほど困難であり、彼の決意と覚悟が試される日々が続きます。

主要キャスト

本作を彩る主要なキャスト陣は以下の通りです。

ブライオン・ワイドナー（ピットブル）: ジェイミー・ベル
子供時代: タイラー・ウィリアムソン
シャリーン・クレイジャー: ヴェラ・ファーミガ
ジュリー・プライス: ダニエル・マクドナルド
ダリル・ラモント・ジェンキンス: マイク・コルター
フレッド・クレイジャー: ビル・キャンプ
ジャッキー・マークス: メアリー・スチュアート・マスターソン
スレイヤー: ダニエル・ヘンシャル
エイプリル: ルイーザ・クラウゼ
シエラ: カイリー・ロジャース
* メリッサ・フライ看護師: ジェイミー・レイ・ニューマン

主演のジェイミー・ベルは、過酷な運命に立ち向かうブライオンを鬼気迫る演技で体現しています。

製作と公開の経緯

本作の製作は、2017年5月11日にジェイミー・ベルとダニエル・マクドナルドの出演が報じられたことから始まりました。その後、2018年3月2日にはヴェラ・ファーミガの起用が、同月15日にはマイク・コルターのキャスト入りが相次いで伝えられました。

公開に先立ち、2018年9月8日には第43回トロント国際映画祭でワールドプレミア上映が行われ、高い注目を集めました。その3日後の11日には、大手配給会社であるA24とディレクTVが、本作の全米配給権と全米配信権を獲得したことが報じられ、広く公開される道が開かれました。2019年4月18日には、作品の雰囲気を伝えるオフィシャル・トレイラーが公開されました。

日本での公開については、当初2020年5月9日が予定されていましたが、世界的に拡大した新型コロナウイルスの影響を受け、2020年4月15日に配給元のコピアポア・フィルムによって公開延期が発表されました。

批評家の評価

『SKIN/スキン』は、批評家から概ね好意的な評価を得ています。映画批評集積サイトであるRotten Tomatoesでは、51件のレビューに基づいて批評家支持率が75%となり、平均点も10点満点中6.77点を記録しています。サイト側の総評としては、「物語の深層部分への踏み込みはまだ可能だったかもしれないが、『SKIN/スキン』が語るストーリーには確かな価値がある。主演のジェイミー・ベルによる熱のこもった演技は、この時宜を得たドラマを観るに値するものにしている」と評されています。また、Metacriticには20件のレビューが寄せられ、加重平均値は100点満点中58点という結果でした。これらの評価は、作品が扱うテーマの重要性や、主演俳優のパフォーマンスが高く評価されたことを示唆しています。

本作は、実在の人物の過酷な道のりを通じて、人種差別という社会的な問題や、人間の罪と向き合い、再生することの困難さ、そしてそれでも希望を見出そうとする強さを描き出した、見応えのある伝記ドラマと言えるでしょう。

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