SMARPP

SMARPP（スマープ）について

SMARPP（Serigaya Methamphetamine Relapse Prevention Program）は、神奈川県立精神医療センターのせりがや病院で開発された、覚醒剤依存症を対象とする治療プログラムです。このプログラムは、主に認知行動療法に基づいた外来治療として設計されており、患者が依存症を克服する手助けを行います。2006年に松本俊彦を中心に開発されて以来、さまざまな地域に派生プログラムが存在します。

プログラムの背景と目的

SMARPPは、アメリカのマトリックス研究所によるマトリックス・モデルを参考にしており、依存症治療においての認知行動療法や動機づけ面接の技法を取り入れています。このプログラムの重要な目的は、患者に依存症についての知識を提供し、具体的な対処スキルを身につけることにあります。初めは、8週間で21回のセッションとしてスタートしましたが、試行を重ねる中で、現在は週1回、24週のプログラムとして行われています。

プログラムは平成28年度の診療報酬改定で、薬物依存症の治療に対する集団療法として加算が認められ、依存症治療を支持する環境も整ってきました。これは世界的に見ても、刑罰よりも治療を重視する動きが広がる中、日本においても必要な対応とされています。

日本の薬物依存症の状況

日本では、覚せい剤に関連した薬物依存症が長年続いており、治療の選択肢が限られています。覚醒剤の再犯率は非常に高く、男子62.1%に達しています。これは、依存症の根本を理解する医療機関が限られており、外来治療が極めて少ないためです。また、民間の回復施設が存在するものの、正式な治療機関には不十分な状況が続いていました。

2015年から、日本全国の精神保健福祉センターにおいて56以上の治療プログラムが開始され、SMARPPのような体系的な治療が徐々に普及しています。治療プログラムは年々進化し、診療報酬への適用も進む中で、より多くの人が治療を受けられる環境が整いつつあります。

マトリックス・モデルの導入

SMARPPの基盤となるマトリックス・モデルは、ロサンゼルスで開発された外来治療プログラムであり、精神刺激薬への依存症に特化しています。特に、1970年代以降の研究に基づく新しい治療技法を用いて、患者が自らのペースで動機を高め、治療に向かうための手助けが行われています。無理な治療を強いることなく、患者の自己決定を尊重する立場を取ります。

治療の基本理念

SMARPPでは、患者が安心して再使用の話をできる場を提供し、失敗に関してもポジティブに受け入れることを重視しています。また、参加者の自己決定を尊重し、望ましい行動には報酬を与え、良いところを褒めることで、ポジティブなフィードバックを促進します。このような理念は、参加者の支援を強化し、治療へのモチベーションを維持するために重要です。

具体的な内容と構成

プログラムの内容には、薬物依存症に関する知識の向上、渇望への対処方法、正直でみずからの行動を見つめ直すことが含まれます。東京都の多摩では、SMARPPを基にしたTAMARPP（Tama Relapse Prevention Program）が展開されるなど、地域によっても独自のプログラムが存在しています。

最後に、セルフヘルプのためのワークブックも出版されており、自己改善や治療に役立つ情報を提供しています。これにより、患者自身が主体的に回復に向けて取り組む助けとなります。

結論

SMARPPは、日本国内での薬物依存症治療の新たな可能性を切り拓いています。今後も、治療体制やプログラムの整備が進むことで、依存症に苦しむ多くの人々が希望を持てる社会を実現できることを期待しています。

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