SPRINGMAN

アルバム『SPRINGMAN』について

UNICORNの8枚目となるオリジナル・アルバム『SPRINGMAN』は、1993年5月21日にソニー・ミュージックレコーズから発売されました。このアルバムは、前作『ヒゲとボイン』（1991年）から約1年半のブランクを経て登場した作品であり、バンドとしての成熟度とメンバーの多様な音楽性を色濃く反映しています。作詞、作曲、ボーカルはメンバー全員が担当し、特に収録曲の多くが各自の個性を活かした形で制作されています。

制作とメンバーの変遷

制作は1992年末から1993年初めにかけて、山梨県の河口湖スタジオや、札幌市のライブハウス「ペニーレーン24」、東京の信濃町スタジオなど、複数の場所で行われました。この時期にはドラム担当の西川幸一が脱退を表明するという波乱もあり、アルバム収録曲のうち3曲はサポートドラマーとして河合誠一マイケルが参加しています。アルバム収録曲は15曲とされていますが、元々は27曲の制作が行われ、その中から厳選されています。特に注目されるのは、西川脱退前に録音された曲の中にオーケストラが導入されたものがあり、本楽曲で阿部が指揮をするなど、ユニークな音づくりが試みられました。

音楽性と歌詞の変化

アルバムの音楽性は、堀内一史や手島いさむ、奥田民生など、各メンバーの個性が活かされています。作曲においても、奥田が主導する形から他のメンバーの制作曲が増えるなど、バンドのバランスが変わってきたことが記録されています。特に、西川のドラムプレイがほとんどの曲に見られる一方で、新たに参加した河合のプレイも曲の色合いを大きく変えています。

歌詞に関して、ここにかかわる内容は非常にシリアスであり、これまでのコミカルな要素が軽減されているとの指摘があります。音楽評論家たちからは「叫び」に近い楽曲もあり、リスナーの心に深く響く内容へとシフトしています。特に宇都宮美穂は、歌詞の質感がこれまでの作品と異なり、「本音を吐いた瞬間」として受け止めています。

楽曲の特徴

収録曲には「与える男」や「金銀パールベイビー」、「オールウェイズ」など多様な音楽スタイルが散りばめられ、それぞれが独自のメッセージを持っています。奥田がグレッチ・テネシアンを使用し、「甘い乳房」では個人的な感情が溢れ出るかのように歌われています。また、ファンには「すばらしい日々」が特に人気で、シングルカットもされていますが、アンコールで披露される「大迷惑」や「与える男」なども支持を受けています。アルバム全体として、サウンドの多様性とメンバー間の個性が巧みに組み合わされています。

解散とその影響

1993年にはこのアルバムを引っ提げたツアーが行われ、オリコンアルバムチャートでも第1位を獲得します。しかし、ツアー終了後のラジオ番組『オールナイトニッポン』で渡された解散の発表は、ファンにとって大きな衝撃でした。解散の理由は、音楽的な方向性のズレや各メンバーの音楽観が異なってきた結果とされています。

このアルバム『SPRINGMAN』は、UNICORNにとっての最後のオリジナルアルバムとして、また、再結成までの道筋を示す重要な作品となっています。メンバー全員の音楽的な関わり合いを感じられる本作は、UNICONの歴史の中でも特に意味深い作品となっており、再評価が続けられています。

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