SQUARE ONE (m-floのアルバム)

m-flo『SQUARE ONE』：原点回帰のダンス・アルバム

2012年3月14日にリリースされたm-floの6枚目のオリジナルアルバム『SQUARE ONE』は、2007年の『COSMICOLOR』以来5年ぶりとなる待望のスタジオアルバムです。前作から本作までの期間、メンバーは多岐にわたる活動に精力的に取り組んでいました。

メンバーの活動とアルバム制作への影響

☆Taku Takahashiは2010年、自身のセカンドレーベルTCY Recordingを設立。ダンスミュージックシーンで活躍するアーティストを多数擁し、GAINAX制作のアニメ『パンティ＆ストッキングwithガーターベルト』のサウンドトラックも担当するなど、プロデューサーとしての活躍は目覚ましく、その経験が『SQUARE ONE』にも反映されていると考えられます。一方、VERBALは2010年よりソロ活動を本格化。MINMIのMV監督を務めるなどクリエイティブな才能を開花させ、安室奈美恵、リル・ウェイン、ニッキー・ミナージュといった豪華アーティストとのコラボレーションも果たしました。さらに、二人は共にダンスミュージックウェブラジオ局『block.fm』を設立、日本のダンスミュージックシーンに大きな影響を与えました。

これらの経験は、メンバーの音楽性や制作へのアプローチに大きな影響を与え、『SQUARE ONE』のサウンドに深みと幅をもたらしたと言えるでしょう。

アルバムのコンセプトと制作

『SQUARE ONE』は、LISA在籍時のTRIPOD期、数々のゲストボーカルを迎えたLOVES期に続く、m-floのキャリアにおける第3期を象徴する作品として発表されました。コンセプトは「原点回帰」。産業やビジネスの要素を抜きに、純粋に音楽を楽しむという原点に立ち返り、制作されました。

楽曲は☆Taku TakahashiとVERBALによって作曲・プロデュースされ、CREAMのMinamiやStaxx T.、難波章浩、Toshiya Ohnoなど、多彩なアーティストが参加。ゲストボーカルも起用されていますが、彼らの名前は伏せられています。これは、リスナーがアーティスト名による先入観を持たずに、楽曲そのものに集中して聴いてほしいというVERBALの意図によるものです。

特筆すべきは、消臭剤CMソングをサンプリングした『Sure Shot Ricky』です。VERBALは、この曲が「誰もが知っている、誰もがハッピーになれる曲」であると選曲理由を語っています。

プロモーションとリリース

アルバムからのリードトラック『She’s So (Outta Control)』は2NE1をボーカルに迎え、2012年2月29日に先行リリース。Billboard Japan Hot 100で43位を記録しました。また、『RUN』はReebokとのコラボレーション楽曲として発表され、MADEMOISELLE YULIAと共にパフォーマンスされました。VERBALはReebokアジア地域クリエイティブ・ディレクターにも就任しています。

新木場AgeHaで開催された『BŌNENKAI』と題したイベントでは、アルバムからの新曲が初披露され、その模様はアルバム特典DVDに収録されました。アルバム発売後には、TSUTAYA限定のスペシャルCD付きアルバムの販売や、VERBALによる一日店長イベントも開催されました。

さらに、『She’s So (Outta Control)』はテレビ朝日『musicるTV』のオープニングテーマに、『Don’t Stop Me Now』は長澤まさみ主演ドラマ『都市伝説の女』のオープニングテーマにそれぞれ起用されるなど、テレビでのタイアップも積極的に行われました。

『SQUARE ONE』は、m-floのキャリアにおける重要な転換期を示す作品であり、彼らの音楽性の深さと幅広さを改めて示す、充実した内容のアルバムと言えるでしょう。多様な音楽的試みと、精力的なプロモーション活動は、多くのリスナーに大きなインパクトを与えたことは間違いありません。

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