STL (放送)

STL（Studio to Transmitter Link）とは

STL（Studio to Transmitter Link）とは、放送局の演奏所（スタジオ）から送信所へ放送内容を伝送するための回線のことです。放送局のスタジオは、情報収集や営業の利便性から市街地に設置されることが多い一方、送信所は電波を広範囲に届けるため、郊外や高所に設置される傾向があります。

STLが必要な理由

テレビ放送やFM放送では、電波塔や山頂など、見晴らしの良い場所に送信所を設置する必要があります。また、中波放送や短波放送では、広い敷地を必要とします。さらに、同一の放送エリア内では、送信所を集約する方針があるため、送信所は必然的にスタジオから離れた場所に設置されることになります。そこで、スタジオで制作された番組を送信所へ伝送するための手段として、STLが用いられます。

STLの仕組み

STLは主に無線回線で構成されており、短波からマイクロ波まで様々な周波数帯の電波が使用されます。また、アナログ方式とデジタル方式の両方が用いられています。STL回線では、番組の音声や映像だけでなく、送信設備の起動や停止を制御する信号も伝送されます。これにより、送信所の無人化や省力化が可能となります。

STLの運用

実際の運用では、回線トラブルによる放送事故を防ぐため、光ファイバーケーブルや専用線などの有線回線と併用されることがあります。また、地域によっては有線回線を主回線とし、STLを予備回線として運用するケースもあります。

関連する回線

STLに関連する回線として、TSL（Transmitter to Studio Link）とTTL（Transmitter to Transmitter Link）があります。

TSL (Transmitter to Studio Link)：送信所からスタジオへ信号を送るための回線です。送信所の監視や、中継現場からの映像をスタジオに伝送する目的で使用されます。
TTL (Transmitter to Transmitter Link)：ある送信所から別の送信所へ信号を送るための回線です。主に、中継局（サテライト局）へ信号を伝送する際に使用されます。

まとめ

STLは、放送局の重要なインフラであり、安定した放送を維持するために欠かせないものです。無線回線だけでなく、有線回線と組み合わせて運用することで、信頼性の高い放送システムを実現しています。

参考資料

CFR Title 47: Telecommunication Part 74—Experimental Radio, Auxiliary, Special Broadcast and Other Program Distributional Services
CFR Title 47: Telecommunication Chapter I—Federal Communications Commission Subchapter C—Part 73—Broadcast Radio Services

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