STS-81

STS-81：アトランティスによるミールへの物資輸送と宇宙飛行士交代ミッション

STS-81は、1997年1月にスペースシャトル・アトランティスがロシアの宇宙ステーション「ミール」を訪れたミッションです。このミッションは、ミールへの9回予定された飛行のうち5回目であり、アメリカ人宇宙飛行士の2回目の交代が行われました。118日間ミールに滞在したジョン・ブラハが地球に帰還し、ジェリー・リネンジャーが新たにミールへ赴任しました。

ミッションの概要

宇宙船: スペースシャトル アトランティス
ミッション目的: ミールへの物資輸送、宇宙飛行士の交代、科学実験
打ち上げ: 1997年1月12日
着陸: 1997年1月22日
主な成果:
ミールへの補給物資の輸送（水、食糧、科学機器など合計2,710kg）
宇宙飛行士の交代（ジョン・ブラハからジェリー・リネンジャーへ）
地球科学、基礎生物学、人間科学、微少重力、宇宙科学などの分野における実験
国際宇宙ステーション（ISS）で使用される装置の試験

乗組員

船長：マイケル・A・ベーカー
操縦手：ブレント・ジェット
ミッションスペシャリスト：ピーター・ウィソフ
ミッションスペシャリスト：ジョン・グランスフェルド
ミッションスペシャリスト：マーシャ・アイビンス
ミッションスペシャリスト（出発時）：ジェリー・リネンジャー
ミッションスペシャリスト（帰還時）：ジョン・ブラハ

ミッションの詳細

アトランティスは、スペースハブ社のダブルモジュールを搭載し、ミールとのドッキング期間中に乗組員は水や食糧などの物資を運び込みました。また、地球科学、基礎生物学、人間科学、微少重力、宇宙科学などの分野で様々な実験が行われ、これらのデータはISSの設計や開発に役立てられることが期待されました。

特に注目されるのは、ミールへの物資輸送量です。STS-81では、合計2,710kgもの荷物がミールに運ばれました。内訳は、水635kg、アメリカの科学機器516.1kg、ロシアの貨物1,000.7kg、雑貨121.7kgなどです。また、ミールからアトランティスへは、アメリカの科学機器570.0kg、ロシアの貨物404.5kg、雑貨97.3kgが持ち帰られました。

さらに、アトランティスは宇宙で完全なサイクルを過ごした最初の植物（種の状態で宇宙に持ち込まれ、種をつけた小麦）を地球に持ち帰りました。これは、宇宙環境における植物の成長に関する貴重なデータを提供しました。

ミールとのドッキングは1月15日に行われ、約5日間ドッキングを継続しました。ドッキング中には、国際宇宙ステーションで使用するために開発されたTreadmill Vibration Isolation and Stabilization System（TVIS）の試験も行われました。これは、宇宙ステーション内での振動を軽減するための装置で、宇宙飛行士の健康維持に重要な役割を果たします。

まとめ

STS-81は、ミールへの物資輸送と宇宙飛行士の交代という重要なミッションであり、様々な科学実験を通じてISSの設計や開発に貢献しました。また、宇宙環境における植物の成長に関する貴重なデータも取得し、今後の宇宙開発に役立つ知見をもたらしました。

このミッションは、アメリカとロシアの宇宙協力の象徴であり、ISSの建設に向けた重要な一歩となりました。

もう一度検索