SUNET

SUNET（サネット）について

SUNETは、かつて存在した、医薬品卸売業者間で共有された医療情報を医療機関に提供するシステムです。このシステムは、複数の医薬品卸売業者が共同で立ち上げたネットワークサービスであり、医療従事者にとって不可欠な医薬品関連情報へのアクセスを容易にすることを目的としていました。

発足の背景と参加企業

SUNETは、旭光学工業（現HOYA）が販売する人工骨を取り扱う医薬品卸売業者グループ「旭会」に所属する8社によって共同運営されました。これらの企業は、札幌市の旭会モロオ、花巻市の小田島、新潟市のマルタケ、東京都の福神、名古屋市の昭和薬品、大阪市の日本商事、広島市の成和産業、そして福岡市の九薬です。1990年1月、福神の福神邦雄氏が会長に就任し、正式に発足しました。

サービス開始と名称の由来

1991年5月、全国的な医薬品情報ネットワークサービス「SUNET」が開始されました。「SUNET」という名称は、旭光学工業の「旭」にちなんで名づけられ、この共同事業における同社の製品との関連性を示唆しています。

提供された情報サービス

SUNETは、医療従事者が日常業務で必要とする多岐にわたる情報を提供しました。具体的には、以下の4種類の検索システムが利用可能でした。

1. 副作用情報(ARIS)：医薬品の副作用に関する詳細な情報を検索できます。
2. 医薬品添付文書(MEDIS)：医薬品の添付文書を電子的に参照できます。
3. 明日の新薬：新薬に関する最新情報を入手できます。
4. ＱアンドＡ：医薬品に関する疑問点や質問を検索できます。


これらのシステムは、医療従事者がより正確かつ迅速に情報を入手し、患者ケアの質を向上させるのに貢献しました。

システム開発と技術

SUNETのシステム開発は、昭和薬品の2名の若手システムエンジニア（SE）が担当しました。彼らの技術力と努力によって、このシステムは効率的かつ信頼性の高いものとなりました。

会員とサービスの拡大

SUNETは、当初、医療従事者を対象とした会員制サービスとして開始されました。まず、全国120都市で新薬情報と副作用情報の提供が開始され、その後、サービスは全国へと拡大されました。

SAFE-DIへの発展

SUNETはその後、「SAFE-DI」へと発展しました。SAFE-DIは、医療機関に勤務する医師や薬剤師を対象とした、インターネット経由で医療用医薬品情報を提供するウェブサイトです。この進化により、より多くの医療従事者が場所を選ばずに最新の医薬品情報にアクセスできるようになり、医療現場での情報共有がさらに促進されました。

まとめ

SUNETは、医薬品卸売業者間の協力によって誕生した、医療情報提供の先駆けとなるシステムでした。その情報提供は医療現場の意思決定を支援し、ひいては患者の安全と治療効果の向上に貢献しました。そして、SAFE-DIへとその姿を変え、現在も医療従事者を情報面から支え続けています。

もう一度検索