SUPER-UX

SUPER-UXは、NECのベクトル型スーパーコンピュータSXシリーズのために開発されたUNIX系オペレーティングシステムです。日本のスパコン開発において重要な役割を果たしたOSとして知られています。

初期のSXシリーズでは、NECの汎用機ACOSをベースとしたSX-OSが使用されていました。これは当時の日本のスパコンメーカー、富士通や日立製作所も同様で、汎用機OSをベースに高性能計算を行うという設計が一般的でした。しかし、1990年代に入ると、HPC分野におけるUNIXの採用が世界的な潮流となり、国立大学などの研究機関からUNIXベースのOSへの要望が高まりました。

この状況を受けてNECは、SXシリーズにUNIX系OSを採用することを決定し、SUPER-UXが開発されました。SUPER-UXのベースはSystem V Release 3であり、4.3BSDの機能を取り込み、ネットワーク関連機能の強化が図られました。

特に、SX-4の登場はSUPER-UXの普及に大きく貢献しました。SX-4は、その高いコストパフォーマンスからNECスパコンの市場シェアを飛躍的に向上させました。SUPER-UXは、SX-4に合わせてSVR4.2MPに対応し、スレッド機能も実装されました。これにより、並列処理能力が向上し、より高度な科学技術計算が可能になりました。

SUPER-UXはHPC用途に特化した機能も備えています。例えば、ギャングスケジューリングは、複数のタスクをまとめて実行することで、並列処理の効率を向上させる機能です。このような機能により、SUPER-UXは地球シミュレータを始めとする、多くのSXシリーズスパコンで採用され、日本の科学技術計算の発展に大きく貢献しました。

SUPER-UXは、SXシリーズの進化とともに発展を続けました。近年登場したSXシリーズでは、「SPE」と呼ばれるプロセッサがSUPER-UXを実行するという構成が採用されています。これは、SX-ACE(SX-10)まで継続されました。

しかし、SX-Aurora TSUBASA（SX-11）では、システムの管理部分（NECでは「ベクトルホスト」と呼んでいます）がx86系プロセッサに変更されたことに伴い、OSはLinuxに移行しました。これは、x86アーキテクチャの普及と、Linuxの汎用性・安定性の高さなどを考慮した結果だと考えられます。

SUPER-UXは、その歴史の中で、日本の科学技術計算の発展に大きく貢献したOSと言えます。地球シミュレータをはじめとする多くの高性能計算システムで運用され、日本の科学技術競争力の向上に貢献しました。SUPER-UXの後継としてLinuxが採用されたことで、SXシリーズは新たな段階へと進化を遂げました。

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