SWAN SONG (ゲーム)

『SWAN SONG』の概要

『SWAN SONG』（スワンソング）は、2005年にLe.Chocolat meets FlyingShineからリリースされたWindows専用の18禁ビジュアルノベルです。この作品は、大災害による隔絶された状況下で見られる人間の心理や行動を鋭く描写しており、そのため「鬱ゲー」として認識されることもあります。初回版はCD-ROM形式で生産が終了しており、中古市場での取引価格が高騰している一方、2008年にはDVD-ROM仕様の廉価版が発売され、2012年にはダウンロード版も登場しました。さらに、2013年には月刊メガストアに全編収録されたDVDが付属した号が発売されています。

演出と物語の特徴

本作はテキスト選択型アドベンチャーゲームとして、通常の一人称または三人称視点からではなく、様々な登場人物の視点を交えつつ物語が進行していきます。これにより、一つのシーンが多面的に表現され、人間描写の深みが増すのです。登場人物の視点を交えた「群像劇」としての展開は、物語にさらなる緊張感を与えています。

また、シーンの表現も独特です。基本的には立ち絵が存在せず、代わりに各キャラクターのフェイスパターンが会話シーンに表示されます。テキストは画面のさまざまな位置に配置され、臨場感を増しています。さらに、一枚絵やカットインCGも利用され、テキストもそれに合わせて変形表示される工夫が成されています。大部分のキャラクターにはボイスも付与されており、没入感を高めています。

ストーリー展開

物語の中心には、クリスマス・イヴの夜に訪れた大地震があります。雪に覆われた地方都市が一夜にして壊滅し、奇跡的に生き残った若者たち六人が倒壊した教会で出会います。彼らは共に力を合わせ、困難な現実を受け入れながら、生き延びる手段を探求していきます。次第に困難を克服し、彼らを取り巻く状況が厳しくなる中で、人間関係や心の葛藤が重要なテーマとなります。

長期的に通信が途絶えた避難生活や資源の枯渇、さらには避難者同士の争いが彼らの心に影響を及ぼしていくのです。

登場人物について

八坂 あろえ

自閉症スペクトラム障害を抱えた少女で、地震で姉を失い、司に保護されます。強いこだわりを持ちつつ、独特の能力を示します。

尼子 司

大学生で、地震の際に運命的にあろえと出会い、彼女を守る役割を担います。冷静で的確な判断を持ち、ピアノの天才ですが、事故で右手が不自由になっています。

田能村 慎

ケーキ屋で働くフリーター。地元っ子で、剣道も楽しむ穏やかな性格の持ち主です。仲間の信頼を集め、リーダーシップを発揮します。

鍬形 拓馬

大学生で、自己評価が低く、内向的ですが、成長していく姿が描かれます。メカに詳しく、アウトドアにも関心を持っています。

佐々木 柚香

優しい性格の大学生で、仲間のために率先して料理をし、周囲から愛されています。強い身体を持たない代償に、仲間を大切にする姿勢が際立っています。

川瀬 雲雀

元気で思ったことをすぐ表現する性格の持ち主。周囲の人々を大切にし、子供達への世話を欠かしません。

乃木 妙子

外見は飾り気がないが、実は宗教団体の首魁。物語の重要な転換点を迎えるキャラクターです。

終わりに

『SWAN SONG』は人間の心理が試される場面が多く、各キャラクターの成長や葛藤が深く描かれた作品です。緊迫感のある演出や多視点での語りを通じて、ある意味で一つの社会における人間の本質が浮き彫りになっています。

もう一度検索