Scientific Linux

Scientific Linux (SL) について

Scientific Linux（SL）は、フェルミ国立加速器研究所（Fermi National Accelerator Laboratory）が開発したLinuxディストリビューションです。Red Hat Enterprise Linux（RHEL）をベースとしており、高い互換性を持つことで知られています。SLという略称で呼ばれることもあります。

概要

Scientific Linuxは、RHELから商標部分を削除し、高エネルギー物理学分野でよく利用されるソフトウェアパッケージを追加して再コンパイルしたものです。このディストリビューションは無償で配布されています。主な目的は、世界中の研究機関や大学で共通して利用できるLinuxディストリビューションを提供することで、各機関での個別の開発作業を削減することにあります。

設計思想

SLは、RHELとの完全な互換性を維持しつつ、小規模な追加や変更を施すことを基本としています。これにより、Linuxの基盤を損なうことなく、各環境に応じたカスタマイズを容易にできるよう設計されています。他のディストリビューション、例えばPoseidon Linuxとは異なり、Scientific Linuxは大規模な科学技術ソフトウェアのコレクションは含んでいません。しかし、そうしたソフトウェアのインストールに最適化されています。

歴史

SLの歴史は、フェルミ研究所がLinuxクラスターを構築する必要が生じたことから始まりました。当初、RHELのクローンとしてFermi Linux LTSがリリースされました。同時期に、欧州原子核研究機構（CERN）もRHEL互換のCern Linuxを開発していました。バージョン3.0.1のリリースを機に、両プロジェクトは統合され、Scientific Linux、Scientific Linux CERNとなりました。

かつてCentOSがRHELの新バージョンへの対応が遅れていた時期には、Scientific LinuxがCentOSの代替として注目されました。しかし、現在ではCentOSもRHELの新バージョンに迅速に対応しています。2015年には、CERNがScientific LinuxからCentOSへの移行を開始し、プロジェクトから離脱しました。

2019年4月22日、SLの開発は終了することが発表され、SL6とSL7のライフサイクルに沿ったサポートのみが継続されることになりました。SL7のサポートは2024年6月30日に終了予定であり、これによりSLシリーズは終了することになります。

2022年12月8日、フェルミ研究所とCERNは、今後の実験施設での標準ディストリビューションとしてAlmaLinuxを採用することを発表しました。これは、両機関での最近の経験や、実験関係者との議論を踏まえたものです。

リリース履歴

Scientific Linuxのリリース履歴は以下の通りです。

バージョン番号 - ベースとなったRHELバージョン
SL3 - RHEL 3
SL4 - RHEL 4
SL5 - RHEL 5
SL6 - RHEL 6
SL7 - RHEL 7

関連項目

フェルミ国立加速器研究所
欧州原子核研究機構（CERN）
Linuxディストリビューションの比較
コンピュータ・クラスター

脚注

特になし

外部リンク

Scientific Linux (公式サイト - 英語)
CERN Linux （公式サイト - 英語）
Scientific Linux Tips （Scientific Linux のインストールのヒント - 日本語）
ScientificLinux-FAQ - 2ch-Linux-Beginners (Scientific Linux に関するFAQ - 日本語)

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