Smile (the pillowsのアルバム)

『Smile』は、日本のロックバンドthe pillowsが1999年に発表した9枚目のオリジナルアルバムです。このアルバムは、the pillowsの音楽キャリアにおける「第三期」と呼ばれる時期に制作された作品であり、その中でも特に重要な位置を占めています。特筆すべき点として、このアルバムは第三期に発表された他のアルバムとは異なり、シングルカットされた楽曲が含まれていません。これは、アルバム全体としての統一感と、より深い音楽的表現を追求した結果と言えるでしょう。

前作から約二年ぶりのリリースとなったこのアルバムでは、メンバーの音楽的志向の変化が反映されています。特に、ギターの山中さわおが長年愛用していたESP製のテレキャスター・シンラインから、フェンダーのサイクロンへとギターを替えたことは、サウンド面での大きな変化をもたらしました。同時に、アンプやエフェクターも変更したことで、より幅広い表現が可能になっています。また、プロモーションビデオが制作されたのは「この世の果てまで」のみであり、その映像はメンバーが演奏するシンプルな構成となっています。

アルバムに収録されている楽曲にも注目すべき点が多くあります。「Monster C.C」は、プロボクサー、モハメド・アリをテーマにした楽曲であり、その歌詞にはアリの生き様や精神が反映されています。一方、「Calvero」は、映画監督であり俳優としても知られるチャールズ・チャップリンの映画『ライムライト』からインスピレーションを得た楽曲であり、その歌詞には映画のテーマや雰囲気が色濃く表現されています。これらの楽曲からも、山中の幅広い音楽的ルーツと、楽曲に込められた深いメッセージを感じ取ることができます。

さらに、アルバムの最後に収録されている隠しトラック「SON OF A BEACH」は、レコーディング中にメンバーのシンイチロウがウクレレにはまっていたことがきっかけで生まれた楽曲です。この曲のタイトルは山中さわおが名付けたもので、歌詞カード内に隠された形で記載されているという遊び心も感じられます。アルバムの締めくくりとして、この隠しトラックはリスナーにサプライズとユーモアを提供しています。

収録曲は以下の通りです。

1. Good morning good news
2. WAITING AT THE BUSSTOP
3. この世の果てまで
4. Monster C.C
5. Skim heaven
6. WINNING COME BACK!
7. Vain dog (in rain drop)
8. FUN FUN FUN OK!
9. THUNDER WHALES PICNIC
10. 日々のうた
11. Smile
12. Calvero

(隠しトラック) SON OF A BEACH

これらの楽曲は、the pillowsの音楽性の多様性と深さを示しており、ファンにとっては必聴のアルバムと言えるでしょう。また、このアルバムからは、the pillowsの楽曲が、様々なアーティストによってトリビュートアルバムに収録され、現在に至るまで多くの音楽ファンから愛され続けていることが伺えます。

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