Socket AM2+

Socket AM2+は、AMDが開発したCPUソケットで、Athlon 64 X2などのCPUで利用されます。これは、Socket AM2の後継として登場し、Socket AM2からSocket AM3への移行期間における重要なソケットでした。Socket AM2+は、Socket AM2との完全な互換性を持ち、AM2向けに設計されたCPUはAM2+マザーボードで動作し、その逆もまた同様です。

技術的仕様

Socket AM2+の主な変更点は、AM2+プロセッサの利用を可能にしたことです。具体的には、以下の点が挙げられます。

HyperTransport 3.0: 最大2.6GHzで動作し、より高速なデータ転送を可能にしました。
独立したパワープレーン: CPUコアと統合メモリコントローラ（IMC）向けに、それぞれ独立したパワープレーンを設けることで、電力効率を向上させました。特に、CPUコアがスリープ状態でもIMCがアクティブな場合に、電力消費を抑えることができます。

技術文書については、初期のAMDプロセッサソケットに関するものは入手しやすいものの、「AM2r2 Processor Functional Data Sheet」（AMD文書番号41607）は一般には公開されていません。

AMDは、AM2プロセッサがAM2+マザーボードで動作し、AM2+プロセッサがAM2マザーボードでも動作することを保証しています。ただし、AM2マザーボードでAM2+プロセッサを使用する場合、Socket AM2の仕様（1GHzのHyperTransport 2.0、CPUコアとIMCに電力を供給する単一のプレーン）で動作することになります。つまり、AM2プロセッサはAM2+マザーボードの高速なHyperTransport 3.0や、分離されたパワープレーンの恩恵を受けることができません。

多くのマザーボードメーカーは、この互換性を有効にするBIOSアップデートをリリースしていないか、または今後もリリースしない可能性があります。一部のメーカーは、AM2マザーボードとAM2+プロセッサの互換性がないと明言しています。

AMDは、Socket AM2+からAM3へのアップグレードパスを設けており、以下の点が重要です。

AM3プロセッサは、AM2+マザーボードで動作します。
AM2+プロセッサは、AM3マザーボードでは動作しません。

しかし、AM2+マザーボードの中にも、BIOSアップデートによってAM3プロセッサに対応できる製品も存在します。マザーボードメーカーがAM3プロセッサのサポートを明示していない製品でも、動作する場合がありますが、その場合はサポート対象外となります。

まとめ

Socket AM2+は、Socket AM2との互換性を保ちつつ、HyperTransport 3.0や独立したパワープレーンといった新しい技術を導入することで、パフォーマンスと電力効率の向上を目指したCPUソケットです。AM3への移行期における重要なソケットであり、その互換性や機能は、当時のCPU市場において大きな影響を与えました。

参照

* AMD Product Information (英語)

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