Socket AM2

Socket AM2とは

Socket AM2は、AMDが開発したデスクトップPC向けのCPUソケットです。2006年5月23日に発表され、それまで主流だったSocket 939とSocket 754を置き換える形で登場しました。Socket AM2は、Cyrix MIIプロセッサとの名称重複を避けるため、Socket M2から改名されました。

技術的特徴

Socket AM2の最大の特徴は、DDR2メモリのサポートです。従来のSocket 939ではDDRメモリが使われていましたが、Socket AM2ではより高速なDDR2メモリを採用することで、メモリ帯域幅を大幅に向上させました。AnandTechの報告によると、Socket AM2システムはDDR2のサポートにより、同等のSocket 939システムに比べて最大30%のメモリ帯域幅の向上を達成しています。ただし、実際の性能向上は最大で7%程度で、多くのアプリケーションでは2%程度にとどまるとされています。

Socket AM2は940ピンのソケットですが、Socket 940との互換性はありません。また、Socket 939のマザーボードとも互換性がないため、プロセッサとマザーボードの組み合わせには注意が必要です。

対応プロセッサ

Socket AM2に対応する初期のプロセッサは、シングルコアのOrleans（Athlon 64）とManila（Sempron）、デュアルコアのWindsor（Athlon 64 X2、Athlon 64 FX）です。これらのプロセッサはSSE3命令セットをサポートしており、初期のものは90nmプロセスで製造されていましたが、後に65nmプロセスに移行しました。

また、Socket AM2はAMD Phenomプロセッサもサポートしますが、マザーボードによってはBIOSのアップデートが必要になる場合があります。

他のAMDソケットとの関係

Socket AM2は、サーバ向けのSocket Fやモバイル向けのSocket S1と共に、当時のAMDの主要なCPUソケットを構成していました。また、Socket AM2向けのシングルソケットOpteronプロセッサも存在します。

技術ドキュメント

初期のAMDプロセッサソケットに関する技術ドキュメントは一般に入手可能ですが、Socket AM2に関する詳細な文書「AM2 Processor Functional Data Sheet」（AMD文書番号31117）は、まだ公開されていません。

後継ソケット

Socket AM2の後継として、ピン互換性を持つ複数のCPUソケットが発表されています。

Socket AM2+

Socket AM2+は、Socket AM2の中間的な後継ソケットで、分離されたパワープレーンとHyperTransport 3.0を特徴としています。Socket AM2+のプロセッサはSocket AM2のマザーボードに挿入できますが、その場合はHyperTransport 2.0での動作となります。

Socket AM3

Socket AM3は、Socket AM2の後継となるソケットで、Socket AM3のプロセッサはSocket AM2のマザーボードで動作しますが、逆はできません。AM3プロセッサはDDR2とDDR3 SDRAMの両方をサポートする新しいメモリコントローラを内蔵しており、AM2およびAM2+マザーボードとの後方互換性を持っています。しかし、AM2プロセッサは新しいメモリコントローラを持たないため、AM3マザーボードでは動作しません。

まとめ

Socket AM2は、DDR2メモリのサポートとパフォーマンス向上を目指したAMDのCPUソケットであり、その後のSocket AM2+やAM3への移行の基礎となりました。技術的な特徴を理解することで、当時のPCパーツ選択やアーキテクチャの進化を深く理解できるでしょう。

関連項目

• - Sempron
• - Athlon
• - Opteron

外部リンク

• - AMD FAQ Athlon64 socket AM2
• - AM2 launch article (AnandTech)
• - AMD Reinvents itself (Tom's Hardware Guide)

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