SoftBank 705N

SoftBank 705N/706N：シンプルデザインと高速文字入力が魅力のNEC製携帯電話

日本電気（NEC）が開発し、ソフトバンクモバイル（現・ソフトバンク）が販売したW-CDMA通信方式の携帯電話、SoftBank 705Nと、その兄弟機であるSoftBank 706Nは、シンプルながらも魅力的な機能を備えた端末でした。本稿では、これらの機種の特徴や機能、そしてそれらがNECとソフトバンクモバイルの携帯電話事業においてどのような位置付けにあったのかを詳しく解説します。

洗練されたデザインと基本機能

705Nは、穏やかな曲線を描く、飾らないシンプルなデザインが特徴でした。派手さはありませんが、手に馴染む形状は、長時間の使用でも疲れにくい設計です。一方、706Nでは背面にミラー仕上げが施され、705Nとは異なる高級感を演出。ただし、706Nのミラー仕上げは、706Pと比較すると、デザインバランスの悪さが目立たない程度に抑えられています。

基本機能としては、ミュージックプレイヤー、Bluetooth、バイリンガル機能、そしてQRコードの読み取りと作成機能を搭載。当時の携帯電話としては標準的な機能を網羅していました。音楽再生機能に加え、パソコンからの音楽転送を容易にする「705N ミュージック転送ツール」も提供されており、ユーザーは手軽に音楽を楽しむことができました。

革命的な文字入力エンジン「Mogic Engine」

705N/706Nの大きな特徴の一つに、革新的な文字入力エンジン「Mogic Engine」の搭載があります。このエンジンは、「先読み予測」と「つながり予測」という高度な予測変換機能を搭載しており、従来の携帯電話に比べて大幅に文字入力速度が向上しました。スムーズな文字入力を実現することで、メールやメッセージの送受信を快適に行うことが可能となり、ユーザー体験を大きく向上させたと言えるでしょう。

独自形状端子への注意

快適な使用感とは裏腹に、705N/706Nには注意すべき点もありました。イヤホンとデータ通信を兼用するケーブル、そして充電端子は、独自形状を採用していました。そのため、汎用性の高いケーブルや充電器が使えず、専用のケーブルを紛失したり破損した場合、交換に手間取る可能性がありました。この点は、購入前に十分に認識しておく必要があるでしょう。

ソフトバンクモバイルにおけるNEC端末の転換期

705N/706Nは、NECがソフトバンクモバイル向けに開発した携帯電話シリーズにおいて、重要な位置付けを持っていました。しかし、706N以降、NEC製のソフトバンクモバイル向け端末はしばらく途絶えることとなります。820N、821Nが登場するまで、約1年間、NECの端末は市場から姿を消しました。この空白期間は、NECとソフトバンクモバイルの戦略的な変化を反映していると考えられ、両社の関係性や携帯電話市場の動向を知る上で重要な事実です。

まとめ

SoftBank 705N/706Nは、シンプルながらも洗練されたデザインと、革新的な文字入力エンジン「Mogic Engine」を搭載した魅力的な携帯電話でした。独自形状の端子など、注意すべき点もありましたが、当時のユーザーにとって、快適なコミュニケーションツールとして活躍したことは間違いありません。これらの機種は、NECとソフトバンクモバイルの携帯電話事業における歴史の一端を担っており、後の機種開発にも影響を与えたと考えられます。

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