SonicStage Mastering Studio

SonicStage Mastering Studio (ソニックステージ・マスタリング・スタジオ) について

SonicStage Mastering Studio（SSMS）は、ソニーが開発したWindows用音楽編集ソフトウェアです。当初はアナログ音源を高品質なデジタル音源に変換することを主な目的としていましたが、その機能は拡張され、音楽制作の様々な段階をサポートするツールへと進化しました。

概要

SSMSは、ソニーのパーソナルコンピュータVAIOシリーズと、リニアPCMレコーダー（主にPCM-D50）にのみ付属するソフトウェアであり、一般販売や配布はされていません。SSMSまたはSSMSREと略されることもあります。ソニーの方針変更により、事実上開発は終了しましたが、その後もPCMレコーダーPCM-D50へのバンドル向けに小規模なアップデートが行われました。最終バージョンは、Windows 7に対応したRecorder Edition Ver.2.4.03です。VAIOへのバンドルは2009年秋モデルで終了しています。

主な機能と特徴

SSMSの基本的な使用方法は、録音、編集・加工、保存・書き出しという流れになります。保存・書き出し時には、ソニー独自の高音質化技術であるSBM（スーパー・ビット・マッピング）機能を利用できます（ただし、入力音源が20bit以上で、出力が16bit 44.1kHzの場合に限ります）。

SSMSという名前は、ソニーの音楽関連ソフトウェアのブランド名である「SonicStage」に由来します。また、テーマ写真に使用されている業務用ミキサーは、OXF-R3です。

SSMSには、WAVESプラグインやソニーオックスフォードプラグインが搭載されており、高度な音響処理が可能です。WAVESプラグインは一時4種類にまで増加しましたが、複雑なプロテクションが施されています。ソニーオックスフォードプラグインの一部は、SSMS.EXEの内部から起動するようになっています。

さらに、パソコンから出力される音にエフェクトをかけることも可能です。Waves、Sony、QSound製のエフェクトプラグインが13種類標準で搭載されており、VST形式のプラグインを読み込むこともできます（Version 2.0.08.09101現在）。13種類のプラグインのうち、最大8種類まで同時に適用できます（同じプラグインを複数回使用することも可能です）。オーディオフィルタ機能は、SSMSFilter.exeというプロセス名で実行されます。

各バージョンの詳細

SonicStage Mastering Studio 1.x

2003年春モデル以降で「Sound Reality」を搭載していないVAIOに付属していました。

バージョン1.0: 初期のバージョンです。
バージョン1.1: Mood Logic社のデータベースを採用しました。
バージョン1.2: バグ修正と機能強化が行われました。
バージョン1.3: バグ修正と機能強化が行われました。
バージョン1.4: オーディオフィルタ機能が強化されました。

SonicStage Mastering Studio 2.x

2005年秋モデル以降に搭載され、主に機能強化が図られました。24bit 192kHzまでのWAV、DSD出力、2chから5.1chへの変換・出力などが可能になりました（いずれも「Sound Reality」搭載のVAIOに限ります）。

バージョン2.0: スーパーオーディオCDで使用されているDSDファイルの作成が可能になりました（DSF形式のみ）。
バージョン2.1: DSDディスクの作成が可能になり、プレイステーション3で再生できるようになりました。DSDIFF形式のDSDファイルの取り込みにも対応し、Windows Media PlayerでのDSDファイル再生も可能になりました。
バージョン2.2: 曲情報取得機能に利用するサービスがMoodLogicからGracenote MusicIDに変更され、他社製DSD録音機器との連携も可能になりました。また、DSD基本性能の強化とSBM Direct機能が追加されました。
バージョン2.3: Windows Vistaに対応し、Sound Reality搭載機種では、アップグレードによりSound Realityを使用したDSD/ASIO機能が利用できるようになりました。
バージョン2.4: 最終バージョンです。

派生ソフト

ハイエンドリニアPCMレコーダーPCM-D50に付属する「SonicStage Mastering Studio Recorder Edition」は、派生ソフトウェアとして存在します。このバージョンでは、VAIO以外のWindowsパソコンにもインストールできますが、DSD機能は「Sound Reality」搭載のVAIOでのみ利用可能です。現在、Windows 7対応のVer.2.4.03がソニーのサポートサイトからダウンロード可能ですが、インストールにはPCM-D1またはPCM-D50の接続が必要です。

Recorder Editionに搭載されているプラグインは、サラウンド調整など録音の補正に特化したもので、VAIOにバンドルされていた有名メーカー製のプラグインは含まれていません。Windows 8以降でもダウンロードは可能ですが、ソニーによるサポートは終了しています。

2017年3月末には、ダウンロード提供も終了しました。

後継ソフトウェア

SSMSの後継ソフトウェアとしては、Sound Forge Audio Studioが存在します。

まとめ

SonicStage Mastering Studioは、ソニーの独自技術と豊富な機能を備えた音楽編集ソフトウェアでした。VAIOやPCMレコーダーに付属する形で展開され、その高音質化技術やプラグインは多くのユーザーに支持されました。現在では開発が終了していますが、その一部機能は今もなお利用可能です。

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