SonicStage

SonicStage（ソニックステージ）とは

SonicStageは、ソニーが開発・提供していたWindows PC向けの音楽管理・再生ソフトウェアです。前身であるOpenMG Jukeboxから進化し、2009年に後継の「x-アプリ」へとバトンタッチするまでの約10年間、ソニーの音楽再生の中心的な役割を担っていました。このソフトウェアは、音楽CDからの楽曲の取り込み、音楽配信サイトでの購入、そしてPCに取り込んだ楽曲の管理・再生、さらにはウォークマンやメモリースティック、携帯電話への転送といった多岐にわたる機能を備えていました。

歴史

OpenMG Jukeboxの誕生

SonicStageの歴史は、1999年12月に発売されたメモリースティックウォークマン「NW-MS7」に付属していたOpenMG Jukeboxから始まりました。このソフトウェアは、当時ソニーが開発した新しい音声コーデック「ATRAC3」を唯一の対応フォーマットとしており、楽曲管理、メモリースティックへの転送、既存のMP3ファイルのATRAC3への変換機能を備えていました。その後、VAIOの一部機種にもプリインストールされるなど、ソニー製品における音楽管理の標準ソフトとして普及していきました。

SonicStageの登場

2001年10月、Windows XP搭載のVAIOにプリインストールされる形で、初代SonicStageが登場しました。当初はOpenMG Jukeboxの上位版という位置づけでしたが、その後1年程度で、OpenMG JukeboxはSonicStageへと置き換えられました。2004年には、HDD搭載のネットワークウォークマン「NW-HD1」が発売されましたが、MP3形式に非対応であったことや、操作性の不評などから販売面で苦戦しました。そのため、同年秋に方針転換が行われ、以降の機種はMP3形式に完全対応するとともに、SonicStageの無償配布が開始されました。当初はmora経由での配布でしたが、翌年からは通常版が配布されるようになりました。

CONNECT PlayerとSonicStage CP

2005年11月には、従来のネットワークウォークマンから「ウォークマン」へと名称が変更され、同時に新しいソフトウェア「CONNECT Player」が採用されました。当初はSonicStageからCONNECT Playerへの移行が予定されていましたが、CONNECT Playerの操作性や動作の不安定さから、SonicStageの開発続行とSonicStage CPの開発が決定されました。2006年5月にはSonicStage CPが提供され、CONNECT Playerの機能が完全に取り込まれました。これにより、CONNECT Playerは事実上SonicStageに吸収され、姿を消しました。SonicStage CPでは、新たにAAC形式にも対応するなど、対応コーデックの拡充も図られました。

海外戦略の転換とSonicStage V

2007年8月、ソニーは「WALKMAN goes OPEN」戦略を発表し、海外向けのウォークマンではSonicStageを使用せず、Windows Media Playerやエクスプローラーでのドラッグアンドドロップ転送を推奨する方針を打ち出しました。これにより、海外市場ではATRAC形式の普及が限定的であったため、海外でのATRAC形式の音楽配信サービスも終了しました。この転換により、SonicStageは事実上国内市場向けのソフトウェアとなり、国内向けには開発が継続されることになりました。

一方、国内市場ではKDDIとの連携により、携帯電話用のデータ管理ソフト「LISMO Port」のコンポーネントとして「SonicStage for LISMO」が提供されました。これは、当時のSonicStage CPとは異なるUIと仕様であり、後のSonicStage Vへと繋がりました。

2008年10月には、SonicStage Vが提供開始されました。これは、SonicStage for LISMOのUIをベースにしており、UIの変更や対応機器の絞り込み、一部機能の削減など、大幅な変更が加えられました。

開発の終焉とx-アプリへの移行

SonicStage Vは、マイナーバージョンアップを2回重ね、2009年6月11日にリリースされたVer.5.2が最終バージョンとなりました。2009年8月11日には、ジャケット写真/関連情報の自動取得サービスが終了し、事実上SonicStageの開発は終了しました。その後、SonicStage VのUIや機能をベースに、動画や写真、ポッドキャストの管理機能を追加した新ソフトウェア「x-アプリ」が2009年10月7日に提供開始され、SonicStageはx-アプリへとバトンタッチしました。しかし、SonicStage CP(Ver.4.4)は、x-アプリ非対応の機器向けに2013年3月29日まで提供が継続されました。

主な機能

SonicStageは、音楽CDからのリッピング、PC上の既存ファイルの取り込み、音楽配信サイトからの楽曲購入、そしてこれらの楽曲の管理・再生、さらに外部機器への転送といった一連の機能を提供していました。

音楽を取り込む: CDからのリッピング、既存ファイルの取り込み、音楽配信サイトからの購入
マイライブラリ: ライブラリに登録された楽曲の管理・再生
音楽を転送する: 外部機器との相互転送、CDへの書き込み

ライブラリは、CDのアルバムやプレイリストを基本単位として扱う設計となっており、音楽配信よりもCDからのリッピングを主体とした使い方に適していました。また、楽曲はアーティスト名の頭文字順に整理され、日本人名やグループ名もローマ字変換によって自動振り分けされていました。

音楽再生時の機能

DSEE: 非可逆圧縮により音質が劣化した楽曲を、元の音質に近づけて再生する
アーティストリンクシャッフル: CDDBから取得した音楽ジャンルに基づき、連続再生
ダイナミックプレイリスト: ジャンルやリリース年などに基づいてプレイリストを自動作成
ミュージックコミュニティ: 楽曲再生履歴をPLAYLOGに自動アップロード
CDギャップの再現: CDの曲間ギャップ情報を再現して再生

対応フォーマット

SonicStageは、ATRAC3、ATRAC3plus、MP3、WMA、WAV、AACなど、様々なオーディオファイル形式に対応していました。また、m3u形式のプレイリストファイルを利用して、取り込み対象を指定することも可能でした。デジタル著作権管理（DRM）方式はOpenMGのみに対応していました。

対応OS

SonicStageの対応OSは、Windows Vista、Windows XP、Windows 2000 Professional、Windows Me、Windows 98 SEです。ただし、SonicStage CP Ver 4.3以降は9x系、SonicStage VではWindows 2000には対応しなくなりました。

導入方法

当初、SonicStageはソニー製PCや対応オーディオ機器への同梱のみでしたが、2004年末のバージョン2.3からはインターネット上で無償公開されました。新しいバージョンが公開されると旧バージョンは削除されるため、最新バージョン以外は入手が困難でした。

各バージョンの詳細

この項目では、OpenMG JukeboxからSonicStage Vまでの各バージョンの詳細な情報と、機能の変遷を説明しています。詳細については、原文を参照してください。

対応機器

SonicStage CPまでは、ウォークマン、PlayStation Portable、携帯電話など、非常に多岐にわたる端末に対応していました。しかし、SonicStage Vでは、対応機器が大幅に絞り込まれ、主に2006年5月以降発売のウォークマンと、一部の周辺機器のみとなりました。

派生ソフトウェア

SonicStageには、LISMO向けに開発されたSonicStage for LISMOや、VAIOのMXシリーズに付属していたSonicStage Premiumなど、様々な派生ソフトウェアが存在しました。これらのソフトウェアは、SonicStageの基本機能をベースに、それぞれの用途に合わせて機能が拡張されていました。

まとめ

SonicStageは、ソニーの音楽体験を長年に渡って支えてきた重要なソフトウェアでした。その歴史は、OpenMG Jukeboxから始まり、SonicStage CP、SonicStage Vへと進化し、最終的にx-アプリへと引き継がれました。SonicStageは、音楽管理ソフトウェアとして、音楽CDのリッピングからポータブルオーディオへの転送まで、一貫した体験を提供してくれました。その多機能性と利便性は、多くのユーザーに愛され、ソニーの音楽製品の普及にも大きく貢献しました。

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