STICK OUT

アルバム『STICK OUT』の概要

『STICK OUT』（スティック・アウト）は、伝説的ロックバンドTHE BLUE HEARTS|THE_BLUE_HEARTSによる6枚目のスタジオアルバムである。本作は、バンドの新たなスタートを象徴する作品であり、タイトルには「突出した」という意味が込められている。ジャケットデザインには、目立つ凸文字があしらわれており、楽曲のエネルギッシュなテンポが特徴だ。アルバムのプロデューサーを務めた今井裕は、この作品がTHE BLUE HEARTS|THE_BLUE_HEARTSを再び世に送り出すための重要な一歩であると信じていた。

本作は、前作『HIGH KICKS』の制作中に感じたバンドの閉塞感を打破する意図から生まれた。甲本ヒロトは、バンドの原点回帰を狙い、今作と次作『DUG OUT』を組み合わせた二部作的な構想を持っていた。これにより、彼はバンドの持つパワーとエネルギーを再確認し、リスナーにもその魅力を伝えたかったのである。

アルバム制作の際、メンバーたちは非常に多数の楽曲を制作し、初めは二枚組のアルバムを検討していた。しかし、曲調のバラエティを生かし、それぞれのアルバムとしてリリースすることで、リスナーが気分に応じて聴き分けられることを選んだ。そうして生まれたのが、本作『STICK OUT』と後の『DUG OUT』だ。

楽曲の特徴とライブパフォーマンス

『STICK OUT』の収録曲の多くは、リリース前に行われたツアー「PKO TOUR (Punch Knock Out Tour) 92-93」で既にステージで演奏されていた。このツアーでは、まだ世に出ていない楽曲の試演が行われ、「間違えても誰も気づかない」と甲本が冗談を交えて語ったエピソードも残っている。

このアルバムはオリコンアルバムチャートで二作目の1位を獲得し、同時に再発された『BUST WASTE HIP』とともに多くの注目を集めた。また、本作の初回限定版は白い紙ケースに凸マークが施された特別なデザインで販売された。

収録曲リスト

1. すてごま - 先行シングルとして、サントリー・ビール『ライツ』のCMにも使われた。
2. 旅人 - ザ・フーの一節をサンプリングしており、PVは過激なため放送禁止となった。
3. 期待はずれの人
4. やるか逃げるか
5. テトラポットの上 - この曲はライブでは一度も演奏されていない。
6. 台風 - 「旅人」との両A面でシングル化。
7. インスピレーション - ボーカルを真島が担当し、文学作品が歌詞に引用される。
8. 44口径 - 特徴的なギターサウンドが印象的。
9. うそつき - 対比が強調された歌詞が魅力。
10. 月の爆撃機 - ライブでの合図がファンにとっての印象深い瞬間だ。
11. 1000のバイオリン - 後にシングルカットされ、音楽界で広く認知されることとなった。

アルバムの再発と評価

『STICK OUT』は、2010年にデジタルリマスタリングが施され、25周年企画として再発された。このように、時間を経ても色あせることのないアルバムは、今もなお多くのファンに愛され続けている。アルバム収録曲の多くは、バンドのライブパフォーマンスにおいても重要な役割を果たし、今なお多くの新しいファンを引きつけている。

『STICK OUT』は、ザ・ブルーハーツの音楽的遺産の一部であり、彼らの音楽が持つ力強さと情熱を象徴する作品として、永遠に記憶に残るだろう。

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