Stock (中森明菜のアルバム)

アルバム『Stock』の概要

『Stock』は、中森明菜の12作目のスタジオ・アルバムで、1988年3月3日にワーナー・パイオニアからリリースされました。このアルバムは、LP、コンパクトカセット、CDの3つの形式で同時に発売され、特に当時の中森の音楽キャリアにおいて重要な位置を占めています。アルバムの帯には、「AKINA "IN THE GROOVE" アナザー・シングルスとも呼べる珠玉の10曲を集めたニュー・アルバム！」という文が記されていますが、実際にはシングル楽曲は収録されていません。

背景と構成

『Stock』の楽曲は、過去3年間の中森のシングル候補からセレクトされ、ロックテイストが色濃く反映されています。このアルバムの特徴は、激しさやパワー、スピード感が強調された構成であると、『オリコン・ウィークリー』によって評価されました。特に注目すべきは、収録曲の一つ「CRYSTAL HEAVEN」で、ここでは女優の浅野ゆう子が歌詞を提供しています。

当初、アルバムのタイトルは「FIRE WATER」としてプロモーションされる計画がありましたが、最終的には『Stock』としてリリースされました。このアルバムは、ファンの中で盛んな議論を呼ぶ要素を持ち、様々な解釈の余地がある楽曲群で構成されています。

批評と評価

『オリコン・ウィークリー』によれば、『Stock』は中森明菜の今後の音楽スタイルを示す重要な作品とされ、リズムに乗せたシャープな女性心理がよく表現されているとのことです。また、『CDジャーナル』では、アルバムの中にある性の余韻に特徴づけられた音楽性が「アキナの真骨頂」と称賛されています。

音楽評論家の今井智子は、このアルバムに「保守層狙いの歌謡曲の美学」が見えるとし、性的な暗示も捉えられると評しました。他の評論家たちも、中森の楽曲の挑発性や、彼女独自のクオリティについて言及しています。こうした視点から、アルバム全体における中森の表現が引き立てられ、多面的な評価を受けていることがわかります。

チャート成績

『Stock』は、1988年3月14日付のオリコン週間アルバムチャートで初登場し、最高で2位を記録しました。アルバムは、16週にわたりランキングに残り続け、形式別のチャートでは、LPチャートでの1位やカセットチャートでの17週のランクインも達成しています。さらに、1988年度のオリコン年間アルバムチャートでは14位にランクインしました。

ライブ・パフォーマンス

リリース後、1988年7月20日に『Stock』を引っ提げた全国コンサートツアーが開催されました。本作に収録された楽曲は、音楽番組で数回披露されており、特に「夢のふち」や「FAREWELL」といったトラックが注目を浴びました。

収録曲とクレジット

アルバムには全10曲が収録され、ミックスはマイケル・ジンマリングによって行われています。また、アディショナル・アレンジメントは北島健二が担当し、楽曲制作のクオリティを高めています。彼女の音楽とキャリアを深く理解するためには、この『Stock』が欠かせない存在です。アルバムを通して、中森明菜のその後の歩みを考察する材料がぎっしりと詰まっています。

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