概要
『Storyteller』(ストーリーテラー)は、
アルゼンチンのインディーゲームスタジオLudomancyが開発し、
アンナプルナ・インタラクティブから2023年
3月23日(日本時間では
3月24日)にリリースされた
パズルゲームです。このゲームでは、プレイヤーが作家として物語を紡ぎ出していくことが求められます。ゲーム内では、ページごとに配置された枠に背景やキャラクターを選んで入れていき、画面上部で示されたテーマに従って物語を構成します。各ページには、
漫画のコマ風にデザインされた枠があり、その中にストーリーの要素を配置していく感覚が味わえます。
最終的に、テーマに合致する内容が完成すればそのページはクリアとなり、ストーリーが展開されます。このゲームの特徴は、物語の解釈が多岐にわたる点です。正しい物語の形は一つではなく、プレイヤーの選んだ登場人物やその関係性に応じてストーリーが変化します。たとえば、「恋人たちの悲劇」というテーマでは、男性と女性の関係に異なる視点を持つキャラクターを配置して、悲劇の展開を作り出すことが可能です。このため、思いがけない物語が生まれることもあり、プレイヤーは自由に創作の楽しさを体験できます。
特殊なストーリー構成や隠しテーマも用意されており、クリエイティブな発想が求められるのも本作の魅力の一つです。
開発の背景
このゲームのプロトタイプは2008年に誕生しましたが、その後の2回の開発試行は、ゲームとしての楽しさに欠けたり、多くのパターンに直面したりして、思うように進みませんでした。しかし、クリエイターのダニエル・ベンメルギは、ウラジーミル・プロップの『民話の形態学』やスコット・マクラウドの『マンガ学』を通じて、物語におけるキャラクターの役割や
漫画の概念を深く理解し、ゲームの仕組みやユーザーインターフェースをよりシンプルに改良することに成功しました。こうした理論の基盤が、独自のゲームデザインに結びついています。
また、ビジュアル面でも多くの修正を行い、最終的には
アンナプルナ・インタラクティブの指導の下、おとぎ話のようなイラストスタイルと
漫画書籍のレイアウトで表現されています。このように、ビジュアルとコンセプトは長年かけて磨かれてきたのです。
受賞歴
『Storyteller』は、その革新的なプレイスタイルにより、2012年のIGF Awardsで「Nuovo Award」を受賞するなど、多くの称賛を集めています。
まとめ
新しいストーリーテリングの方法を探している方には、『Storyteller』が提供する独自の体験が非常に楽しめるでしょう。自分だけの物語を創作する喜びを味わえるこのゲームは、単なる
パズルゲームの枠を超え、創造力を刺激する心温まる作品であると言えます。