Su-1 (航空機)

Su-1とSu-3: ソビエト連邦の高高度戦闘機

Su-1（スホーイ1）およびその改良型Su-3（スホーイ3）は、第二次世界大戦の初期にソビエト連邦で開発された試作の高高度戦闘機です。これらの機体は、重武装と高い性能を誇ることを目指して設計されました。

開発の背景

1939年、スホーイ設計局は、高高度での戦闘能力を持つ戦闘機の開発を指示されました。これに応じて設計されたのがSu-1であり、この機体は木製の半モノコック構造の胴体と、ジュラルミン製の主翼を持つ標準的な単葉機として設計されました。特に注目されるのは、高高度でのエンジン出力低下を防ぐために、2基のTK-2ターボチャージャーが装備されている点です。ただし、与圧コクピットは設けられていませんでした。

試作機は1940年の5月に完成し、同年6月15日にA.P.チェルニャフスキーの操縦により初飛行を行いました。この試作機は、1941年4月まで限られた飛行試験が実施され、高度10,000メートルで640 km/hを達成するなどの性能が確認されましたが、ターボチャージャーの機械的信頼性の不足が問題となりました。このため、性能は本来設計されたYak-1を上回ることができませんでした。

Su-3への改良

Su-1の試作2号機は、その主翼の翼面積を小さく改変し（17 m²）、名称もSu-3へと変更されました。Su-3は1941年に完成しましたが、依然としてTK-2ターボチャージャーの信頼性に課題が残っており、その結果プロジェクトは放棄され、飛行に至ることはありませんでした。

Su-1の技術仕様

以下は、Su-1の基本的な技術仕様です。

• - 乗員: 1名
• - 全長: 8.42m
• - 全高: 2.71m
• - 翼幅: 11.50m
• - 翼面積: 19 m²
• - 空虚重量: 2495 kg
• - 運用時重量: 2875 kg
• - 動力: クリーモフ M-105P レシプロ液冷V型12気筒、TK-2ターボチャージャー × 2
• - 出力: 820 kW（1100 hp）

性能

• - 最大速度: 640 km/h（高度10,000mにて）
• - 航続距離: 720 km
• - 実用上昇限度: 12,500m
• - 上昇率: 10,000mまで10.3分
• - 翼面荷重: 151 kg/m²
• - 馬力荷重: 0.285 kW/kg

武装

Su-1は以下の武装を備えていました：

• - 固定武装: 20mm ShVAK 機関砲 × 1
• - 7.62mm ShKAS 機関銃 × 2

まとめ

Su-1およびその改良型Su-3は、ソビエト連邦の航空技術における重要な試みの一環として位置付けられています。完成には至らなかったものの、これらの機体は高高度戦闘機開発への貴重な知見を提供しました。

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