Suite November

アルバム『Suite November』の概要

『Suite November』は、日本のロックバンドL'Arc〜en〜Cielのベーシストであるtetsuyaが、ソロ名義であるTETSU69としてリリースした初のアルバムです。このアルバムは、2002年11月20日に発売され、ワーナーミュージック・ジャパンの社内レーベルであるDREAM MACHINEからリリースされました。この作品は、TETSU69名義での唯一のアルバムとなっており、その後の作品はすべてtetsuya名義で発表されています。

楽曲の構成と特徴

本作には、2001年にリリースされたシングル「wonderful world/TIGHTROPE」からの曲や、2002年に10万枚限定で販売されたシングル「蜃気楼」「15 1/2 フィフティーンハーフ」といった楽曲を含む全8曲が収録されています。特に「wonderful world」は、アルバムバージョンとして収録されており、シングル版とは異なり演奏時間が約10秒長くなっています。これらの楽曲は、2001年のレコーディング時に制作されたデモ音源から発展してきたもので、TETSU69は自らストックしていた曲を集めてアルバムを構成したと述べています。

収録曲数が全8曲に限定されている理由について、TETSU69は「1時間を超えるアルバムは聴いていて飽きる」と感じ、適切なボリュームを選んだと語っています。そのため、リスナーにとって楽しめるサイズ感が意識された形になっています。

シークレットトラックとアレンジ

このアルバムには、シークレットトラックとして「TEZMANのテーマ (Extended version)」が収録されており、8トラック目の後に無音のトラックが続いています。また、曲のアレンジは多彩で、さまざまなアレンジャーが参加しています。これにより、各楽曲に独自の色が加わり、実験的な要素が強調されています。TETSU69自身は、収録の過程を通じて多くのことを学び、自身の音楽スタイルを探求する一歩となったと述べています。

歌詞とテーマ

アルバム全体の歌詞はTETSU69自身が手掛け、彼は歌詞が音楽と同じように大切な要素であると考えています。「Pretender」や「SCARECROW」などの楽曲では、社会的なテーマを扱い、シニカルな視点が表現されています。また、これまでの作品と異なるアプローチで歌詞に取り組んだことで、彼の作詞家としての成長も伺えます。

音楽スタイルの変化

『Suite November』は、TETSU69がベーシストでありながら、今回のアルバムでは多くの楽曲でシンセベースを使用し、エレクトロ・ポップの要素も取り入れています。このデジタルロックスタイルは、彼が影響を受けた1980年代の音楽に基づいており、聴く人を引き込む魅力があります。また、自身が好んで聴いてきたアーティストの影響も反映されており、特に「Pretender」のイントロはガービッジのような雰囲気を持つとされています。

アルバムタイトルとジャケット

このアルバムのタイトルは、『組曲』を意味する「suite」と、発売月である「November」を組み合わせたものです。スタッフとの話し合いの中で名称が決定されたとのことです。ジャケットにはTETSU69が王冠をかぶり、ギターを持っている姿が映し出されており、彼の多面性を表しています。また、ブックレットには、彼が演じる架空のキャラクターたちの写真が掲載され、多彩な才能を示しています。

進化するTETSU69の音楽

その後、2022年には『Suite November -Complete Edition-』が発表され、新たに2曲が追加されました。このアルバムは、TETSU69の音楽キャリアの中での重要な作品であり、ソロアーティストとしての新たなスタートを象徴するものとなりました。アルバム制作後の彼の言葉を通じて、自己表現の幅を広げたことが伺えます。

『Suite November』は、TETSU69の音楽的冒険と自己探求の結晶であり、聴く者に新しい世界を提供するアルバムとなっています。

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