Sukiyaki and Other Japanese Hits

坂本九のベストアルバム『Sukiyaki and Other Japanese Hits』：全米を席巻した歌声と日本の歌謡曲の魅力

1963年、キャピトル・レコードから発売された坂本九のアルバム『Sukiyaki and Other Japanese Hits』は、日本の歌謡曲の世界を世界に知らしめた記念碑的な作品と言えるでしょう。ジャケットには、カタカナで『坂木九〔ママ〕の唄う日本のヒット歌集』と記され、その独特な雰囲気は、当時の音楽シーンを彷彿とさせます。

このアルバム最大のヒット曲はもちろん、「Sukiyaki（上を向いて歩こう）」です。この曲は、全米1位、全英6位を記録するなど、世界的な大ヒットとなり、坂本九を国際的なスターへと押し上げました。その勢いをそのままにリリースされた『Sukiyaki and Other Japanese Hits』もBillboard Top LPsで14位まで上昇し、アルバムとしても大きな成功を収めました。イギリスでも発売され、日本国外での人気を確固たるものにしました。

興味深いのは、同年に発売されたLP『九ちゃんの歌』との関連性です。両アルバムは収録曲が非常によく似ており、ジャケット写真も同一のフォトセッションで撮影された別ショットが使われています。これは、当時の音楽プロモーションにおける戦略の一端を垣間見ることができるでしょう。

収録曲は、永六輔作詞・中村八大作曲のコンビによる楽曲や、青島幸男作詞による作品など、日本のオリジナル曲が中心となっています。しかし、それだけではありません。このアルバムには、国際的な要素も含まれています。ジミー・ジョーンズの日本語カバー「ステキなタイミング(Good Timin')」や、ドイツの俳優、ハラルド・ユンケが歌った「Der schwarze Joe aus Idaho」の英語カバー「グッドバイ・ジョー(Goodbye, Joe)」の日本語版が収録されているのです。これらの楽曲は、日本の音楽シーンに新たな風を吹き込み、国際的な交流を象徴する存在となっています。

アルバム全体を通して、坂本九の明るく、親しみやすい歌声が聴く者の心を掴みます。日本の伝統的な音楽要素と、洋楽の影響が見事に融合した楽曲群は、世代を超えて愛される魅力を持っています。

収録曲一覧

Side One

1. 上を向いて歩こう（作詞：永六輔、作曲・編曲：中村八大）
2. 九ちゃんのツンツン節（作詞：坂本九、日本民謡、採譜・編曲：萩原哲晶）
3. 一人ぼっちの二人（作詞：永六輔、作曲・編曲：中村八大）
4. 九ちゃん音頭（それが浮世と云うものさ）／坂本九、ダニー飯田とパラダイス・キング（作詞：青島幸男、作曲・編曲：ダニー飯田）
5. もう一人のボク（作詞：青島幸男、作曲・編曲：中村八大）
6. ステキなタイミング／ダニー飯田とパラダイス・キング（作詞・作曲：Fred Tobias/Clint Ballard, Jr.、日本語詞：漣健児、編曲：ダニー飯田）

Side Two

1. ボクの星（作詞：山田洋次、作曲・編曲：ダニー飯田）
2. 君なんか 君なんか（作詞：永六輔、作曲・編曲：中村八大）
3. 九ちゃんのズンタタッタ（聞いちゃいけないよ）／坂本九、ダニー飯田とパラダイス・キング（作詞・作曲：青島幸男、編曲：ダニー飯田）
4. ヒゲの唄（作詞：永六輔、作曲・編曲：中村八大）
5. グッドバイ・ジョー／坂本九、ダニー飯田とパラダイス・キング（原作詞：Günter Loose、英語版作詞：Norman Newell、日本語版作詞：漣健児、作曲：Hans-Artur Wittstatt、編曲：ダニー飯田）
6. あの娘の名前はなんてんかな（作詞：永六輔、作曲・編曲：中村八大）

各楽曲の英語タイトルは、英語版アルバムを参照ください。

『Sukiyaki and Other Japanese Hits』は、単なるベストアルバムではなく、日本の歌謡曲の歴史、そして坂本九という稀有な歌手の才能を世界に知らしめた重要な作品と言えるでしょう。その音楽は、今もなお人々の心に響き渡り続けています。

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