Summer 4 Rhythm

Summer 4 Rhythm：80年代AORの再来

2003年8月6日にリリースされた角松敏生15作目のオリジナルアルバム『Summer 4 Rhythm』は、単なる夏のアルバムという枠を超えた、彼の音楽的探求と高い技術力が凝縮された作品と言えるでしょう。

コンセプト：過去へのオマージュと未来への展望

このアルバムの最大の特徴は、そのコンセプトにあります。角松敏生は、デビュー間もない頃の80年代初期、特に3枚目のアルバム『ON THE CITY SHORE』(1983年)頃のサウンドを、現在の技術と音楽性を用いて再構築するという試みを行いました。それは、若き日の才能と、長年の経験で培われた高度な音楽的知識・表現力の融合と言えるでしょう。

音楽性：洗練されたサウンドと充実した楽曲

『Summer 4 Rhythm』は、その名の通り、リズム隊が楽曲の要となっています。[沼澤尚]、[青木智仁]、浅野祥之(ギター)、[小林信吾]という、日本を代表するトップミュージシャンたちによる、タイトでグルーヴィーな演奏は、楽曲に生命を吹き込みます。

楽曲一つ一つは、80年代前半の角松作品でしばしば用いられた「海・夏・空港」といった情景描写をテーマにしながらも、単なる懐古趣味にはとどまりません。洗練されたアレンジと、現代的なサウンドプロダクションによって、新鮮で聴き応えのある仕上がりになっています。AORサウンドのエッセンスを巧みに取り入れつつ、角松敏生の独自性が際立っている点が、このアルバムの魅力です。

特に注目すべきは、杏里への提供曲「Over the Wave～波をこえて～」のセルフカバーです。オリジナルとは異なるアレンジで、角松敏生自身の解釈が加えられています。

収録楽曲：多様な表情を見せる14曲

全14曲からなるアルバムは、バラエティに富んだ楽曲が収録されています。アップテンポで爽快感のある曲から、しっとりとしたバラードまで、角松敏生の幅広い音楽性が堪能できます。

アルバムには「TBS『チューボーですよ！』エンディングテーマ」として使用された楽曲も含まれており、その親しみやすさも魅力の一つです。

初回盤：豪華な特典付き

初回盤には、小林克也によるDJミックスCD『SUMMER TIME ROMANCE II? ～SUMMER NIGHT ROMANCE～ DJ.Katsuya Kobayashi』が付属していました。この特典CDは、アルバムの世界観をさらに広げる、貴重なアイテムです。

スタッフ：豪華クリエイター陣

『Summer 4 Rhythm』は、角松敏生自身によるプロデュースのもと、数々の著名なミュージシャン、エンジニア、クリエイターが参加しています。彼らの高い技術と才能が、このアルバムのクオリティを支えています。

まとめ：角松敏生の実力と魅力が凝縮された傑作

『Summer 4 Rhythm』は、角松敏生が長年のキャリアで培ってきた技術と感性を、余すことなく発揮した傑作と言えるでしょう。80年代AORサウンドへのオマージュでありながら、現代的なサウンドとアレンジによって、全く新しい魅力を生み出しています。夏の情景を鮮やかに描き出し、聴く者の心を掴む、忘れがたいアルバムです。

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