Symbol (ブロックチェーン)
Symbol（シンボル）は、既存のシステムや他のブロックチェーンとの統合を目標に開発されたブロックチェーンプラットフォームです。内部通貨としてXYM（ジム）を使用し、コンセンサスアルゴリズムには、Proof-of-Stake（PoS）を改良したProof-of-Stake Plus（PoS+）を採用しています。
Symbolには、モザイク、マルチレベルマルチシグ、アグリゲートトランザクションといった多様な機能が組み込まれています。また、パブリックチェーンとプライベートチェーンの間で、第三者機関を介さずにクロスチェーンスワップを用いてトークンの交換を可能にする機能も提供されています。
さらに、エンタープライズ分野での利用を容易にすることを目指しており、APIやSDKを利用することで、Webサービスやアプリケーションとの接続を容易に実現できるとされています。
Symbolの開発は、ブロックチェーン「Nxt」に着想を得て開発されたNEMの大型アップデートとして始まりました。
2014年1月19日、「Bitcointalk」フォーラムにて「UtopianFuture」という人物によって開発が提唱され、コア開発者のJaguarと共に開発がスタートしました。開発目標として、金銭的な自由、分散化、平等、連帯感に基づいた新しい経済圏の創出を掲げ、オープンアルファテストが6月25日、オープンベータテストが10月20日に開始されました。2015年3月31日には、Symbolの前身であるNEMが公開され、そのジェネシスブロックは3月29日に生成されています。
2016年5月20日、テックビューロ株式会社は、パブリック型ブロックチェーンNEMとプライベート型ブロックチェーンMijinの両方が、Catapult（カタパルト）というコードネームの技術を共有することを発表し、NEMとの提携を正式化しました。同年11月15日には、テックビューロがブロックチェーンコア「Catapult」のホワイトペーパーを公開。2018年3月25日にはCatapultのベータ版がリリースされ、5月14日には、Catapultがプライベートブロックチェーンであるmijin v2の機能およびオープンソースプログラムとして公開されました。
2019年になると、カタパルトサーバーのアップデートが実施され、Bison、Cow、Dragonというコードネームで段階的に発表されました。7月1日にはDragonをアップデートしたマイルストーン「Elephant」が発表され、10月14日には「Fushicho」が発表されました。11月2日には、CatapultがNEMとは異なる新たなブロックチェーンとして公開されることが確認され、12月20日にはブロックチェーン「Catapult」の名称を「Symbol（シンボル）」にすることが提案されました。2020年1月4日のコミュニティ投票によって、名称が「Symbol（シンボル）」に決定されました。
2020年1月10日に「Catapult」のパブリックテストネットが公開され、2月1日にSymbolのティッカーシンボルが「XYM」に決定しました。8月17日には、Symbolのメインネット公開が2020年12月17日に予定されていることが発表され、8月25日には、Symbolで利用されるトークン「XYM」の受け取り意思表明（オプトイン）が9月15日から開始されることが発表されました。9月15日には、予定通りオプトインが開始されました。
2020年9月26日には、カタパルトサーバーの新しいマイルストーン「Hippopotamus」が発表され、同時に「Symbol」のパブリックテストネットも公開されました。11月19日には、Symbolのメインネット公開日が2021年1月14日に延期されることが発表されましたが、12月30日には、2021年2月に再延期されることが発表されました。
2021年1月28日には、NPO法人NEM技術普及推進会NEMTUS（ネムタス）主導で、ブロックチェーン「Symbol」への負荷テストがコミュニティ有志によって実施され、翌月2日に結果が報告されました。2月18日には、Symbolの最終ストレステストが開始され、23日にテストの合格が発表されました。同時に、スナップショットによるXYM保有枚数の確定日が3月12日、メインネット公開日が3月15日に決定し、予定通り3月12日にスナップショットが完了しました。2021年3月16日午前9時6分25秒（日本時間）にジェネシスブロックが生成され、3月17日にSymbolのメインネットが公開されました。
2021年11月5日には、ハードフォーク「Cyprus（キプロス）」を実施する事が発表され、12日にハードフォークが実施されました。
Symbolの内部通貨として「XYM」が規定されており、トークンの取引手数料や、取引承認作業を行った人への報酬として使用されます。最大発行量は約90億（8,999,999,999）XYMに設定されています。
XYMは、スナップショット時にアカウントが保有していた暗号通貨NEMの内部通貨であるXEMの量に応じて発行され、一部はインフレ報酬として100年以上かけて発行されています。
Symbolでは、コンセンサスアルゴリズムとしてProof-of-Stake Plus（PoS+）を採用しており、ブロックを生成するプロセスをハーベスト（ハーベスティング）と呼びます。ブロックの生成は約30秒ごとに行われ、その間にブロックに入る手数料（fee）と、プロトコルで予め規定されているインフレ報酬の合計が、ハーベストを行うアカウントへの報酬としてXYMが分配されます。
また、ハーベストを行うアカウントは、XYMの残高が1万XYM以上のアカウントに対して、以下のスコアを基に算出される「インポータンス・スコア」によって確率的に決定されます。
ステークスコア: 自分のアカウントのXYMの保有量から、1万XYMを持っているアカウントのXYM総額で割った値。
トランザクションスコア: 取引によるトランザクション手数料の総額。
ノードスコア: アカウントがノードによってハーベスティングされた手数料の受取人になった回数。
ハーベストの参加方法には以下の3つがあります。
1. ローカルハーベスティング: 自分でノードを運営して参加する方法ですが、セキュリティリスクが高いとされています。
2. リモートハーベスティング: リモートアカウントと呼ばれるアカウントを作成し、自分でノードを運営して参加する方法。
3. デリゲートハーベスティング: 第三者が運営するノードにハーベストを委任して参加する方法。ブロック生成による報酬の一部を受け取ることができます。
モザイクは、Symbol上で発行されるトークンのことです。モザイクにはメタデータを付与したり、モザイクの発行者が取引できるアカウントを制限する機能であるモザイク制限を使用できます。アグリゲートトランザクションと組み合わせることで、ブロックチェーン上にすべてのデータを格納するフルオンチェーンNFT（またはオールオンチェーンNFT）を作成するサービス（COMSA、NFT-Drive）も存在します。
ネームスペースは、ブロックチェーン上のドメインのようなもので、テキスト形式でアドレスやモザイクに任意の名前を付与することができます。また、ネームスペースにメタデータを付与することも可能です。
アグリゲートトランザクション（複合トランザクション）は、複数の処理を一つにまとめることで、トラストレス（第三者機関が不要）な取引を実現する機能です。実行には、予め決められた期限内に該当する全ての当事者の署名が必要となり、期限内に一人でも署名しない場合、トランザクションは破棄されます。
マルチシグは、トランザクションを実行する際に複数の秘密鍵による署名を必要とする機能で、Symbolでは複数階層から成る署名であるマルチレベルマルチシグを利用できます。
Symbolを活用した代表的なアプリケーションやプロジェクトとして、以下のようなものがあります。
NFTDrive: フルオンチェーンNFTを生成できるツールで、NFT生成時に作業用アドレスの秘密鍵を破棄した状態で自動生成する仕組みが特徴です。
COMSA: NFT（非代替性トークン）やFT（代替可能トークン）を扱うマーケットプレイスで、テックビューロ社が開発・運営を行っています。
NEM (暗号通貨)
テックビューロ
Symbol テクニカルドキュメント
Symbol ブロックチェーンエクスプローラー
Symbol Community
Symbolの主な機能
Symbolには、モザイク、マルチレベルマルチシグ、アグリゲートトランザクションといった多様な機能が組み込まれています。また、パブリックチェーンとプライベートチェーンの間で、第三者機関を介さずにクロスチェーンスワップを用いてトークンの交換を可能にする機能も提供されています。
さらに、エンタープライズ分野での利用を容易にすることを目指しており、APIやSDKを利用することで、Webサービスやアプリケーションとの接続を容易に実現できるとされています。
歴史
Symbolの開発は、ブロックチェーン「Nxt」に着想を得て開発されたNEMの大型アップデートとして始まりました。
NEMのローンチ
2014年1月19日、「Bitcointalk」フォーラムにて「UtopianFuture」という人物によって開発が提唱され、コア開発者のJaguarと共に開発がスタートしました。開発目標として、金銭的な自由、分散化、平等、連帯感に基づいた新しい経済圏の創出を掲げ、オープンアルファテストが6月25日、オープンベータテストが10月20日に開始されました。2015年3月31日には、Symbolの前身であるNEMが公開され、そのジェネシスブロックは3月29日に生成されています。
Catapultの発表
2016年5月20日、テックビューロ株式会社は、パブリック型ブロックチェーンNEMとプライベート型ブロックチェーンMijinの両方が、Catapult（カタパルト）というコードネームの技術を共有することを発表し、NEMとの提携を正式化しました。同年11月15日には、テックビューロがブロックチェーンコア「Catapult」のホワイトペーパーを公開。2018年3月25日にはCatapultのベータ版がリリースされ、5月14日には、Catapultがプライベートブロックチェーンであるmijin v2の機能およびオープンソースプログラムとして公開されました。
2019年になると、カタパルトサーバーのアップデートが実施され、Bison、Cow、Dragonというコードネームで段階的に発表されました。7月1日にはDragonをアップデートしたマイルストーン「Elephant」が発表され、10月14日には「Fushicho」が発表されました。11月2日には、CatapultがNEMとは異なる新たなブロックチェーンとして公開されることが確認され、12月20日にはブロックチェーン「Catapult」の名称を「Symbol（シンボル）」にすることが提案されました。2020年1月4日のコミュニティ投票によって、名称が「Symbol（シンボル）」に決定されました。
Symbolのローンチ
2020年1月10日に「Catapult」のパブリックテストネットが公開され、2月1日にSymbolのティッカーシンボルが「XYM」に決定しました。8月17日には、Symbolのメインネット公開が2020年12月17日に予定されていることが発表され、8月25日には、Symbolで利用されるトークン「XYM」の受け取り意思表明（オプトイン）が9月15日から開始されることが発表されました。9月15日には、予定通りオプトインが開始されました。
2020年9月26日には、カタパルトサーバーの新しいマイルストーン「Hippopotamus」が発表され、同時に「Symbol」のパブリックテストネットも公開されました。11月19日には、Symbolのメインネット公開日が2021年1月14日に延期されることが発表されましたが、12月30日には、2021年2月に再延期されることが発表されました。
2021年1月28日には、NPO法人NEM技術普及推進会NEMTUS（ネムタス）主導で、ブロックチェーン「Symbol」への負荷テストがコミュニティ有志によって実施され、翌月2日に結果が報告されました。2月18日には、Symbolの最終ストレステストが開始され、23日にテストの合格が発表されました。同時に、スナップショットによるXYM保有枚数の確定日が3月12日、メインネット公開日が3月15日に決定し、予定通り3月12日にスナップショットが完了しました。2021年3月16日午前9時6分25秒（日本時間）にジェネシスブロックが生成され、3月17日にSymbolのメインネットが公開されました。
ローンチ後の展開
2021年11月5日には、ハードフォーク「Cyprus（キプロス）」を実施する事が発表され、12日にハードフォークが実施されました。
特徴
XYM
Symbolの内部通貨として「XYM」が規定されており、トークンの取引手数料や、取引承認作業を行った人への報酬として使用されます。最大発行量は約90億（8,999,999,999）XYMに設定されています。
XYMは、スナップショット時にアカウントが保有していた暗号通貨NEMの内部通貨であるXEMの量に応じて発行され、一部はインフレ報酬として100年以上かけて発行されています。
ハーベスト
Symbolでは、コンセンサスアルゴリズムとしてProof-of-Stake Plus（PoS+）を採用しており、ブロックを生成するプロセスをハーベスト（ハーベスティング）と呼びます。ブロックの生成は約30秒ごとに行われ、その間にブロックに入る手数料（fee）と、プロトコルで予め規定されているインフレ報酬の合計が、ハーベストを行うアカウントへの報酬としてXYMが分配されます。
また、ハーベストを行うアカウントは、XYMの残高が1万XYM以上のアカウントに対して、以下のスコアを基に算出される「インポータンス・スコア」によって確率的に決定されます。
ステークスコア: 自分のアカウントのXYMの保有量から、1万XYMを持っているアカウントのXYM総額で割った値。
トランザクションスコア: 取引によるトランザクション手数料の総額。
ノードスコア: アカウントがノードによってハーベスティングされた手数料の受取人になった回数。
ハーベストの参加方法には以下の3つがあります。
1. ローカルハーベスティング: 自分でノードを運営して参加する方法ですが、セキュリティリスクが高いとされています。
2. リモートハーベスティング: リモートアカウントと呼ばれるアカウントを作成し、自分でノードを運営して参加する方法。
3. デリゲートハーベスティング: 第三者が運営するノードにハーベストを委任して参加する方法。ブロック生成による報酬の一部を受け取ることができます。
モザイク
モザイクは、Symbol上で発行されるトークンのことです。モザイクにはメタデータを付与したり、モザイクの発行者が取引できるアカウントを制限する機能であるモザイク制限を使用できます。アグリゲートトランザクションと組み合わせることで、ブロックチェーン上にすべてのデータを格納するフルオンチェーンNFT（またはオールオンチェーンNFT）を作成するサービス（COMSA、NFT-Drive）も存在します。
ネームスペース
ネームスペースは、ブロックチェーン上のドメインのようなもので、テキスト形式でアドレスやモザイクに任意の名前を付与することができます。また、ネームスペースにメタデータを付与することも可能です。
アグリゲートトランザクション
アグリゲートトランザクション（複合トランザクション）は、複数の処理を一つにまとめることで、トラストレス（第三者機関が不要）な取引を実現する機能です。実行には、予め決められた期限内に該当する全ての当事者の署名が必要となり、期限内に一人でも署名しない場合、トランザクションは破棄されます。
マルチレベルマルチシグ
マルチシグは、トランザクションを実行する際に複数の秘密鍵による署名を必要とする機能で、Symbolでは複数階層から成る署名であるマルチレベルマルチシグを利用できます。
アプリケーションとプロジェクト
Symbolを活用した代表的なアプリケーションやプロジェクトとして、以下のようなものがあります。
NFTDrive: フルオンチェーンNFTを生成できるツールで、NFT生成時に作業用アドレスの秘密鍵を破棄した状態で自動生成する仕組みが特徴です。
COMSA: NFT（非代替性トークン）やFT（代替可能トークン）を扱うマーケットプレイスで、テックビューロ社が開発・運営を行っています。
脚注
関連項目
NEM (暗号通貨)
テックビューロ
外部リンク
Symbol テクニカルドキュメント
Symbol ブロックチェーンエクスプローラー
Symbol Community
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